地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2016.08.10 議会改革

第27回 委員外議員は委員会の議決に加わることができるか

LINEで送る

議会事務局実務研究会 吉田利宏

■お悩み(委員外議員といっても仲間さん 40代 市議会議員)
 ある市議会の建設経済委員会の委員長をしております。ある議員が委員会の許可を得た上で、委員外議員として委員会に参加し発言も行っております。この委員外議員は以前、ある町の観光アドバイザーをしていたこともあり、観光関係の審議などが行われるときには決まって、発言を求めます。会議規則には「委員会は、委員でない議員から発言の申出があったときは、その許可を与えることはできる」と定められています。ところが、この委員外議員から参考人招致の議決に加わりたいとの打診を受けています。会議規則には特段規定はありませんが、委員会の許可などがあれば可能なのでしょうか? ご教示をお願いします。

■回答案
A 委員会の意思として議決に加わることが許されたなら、何ら問題はない。
B 委員会ではなく、議会全体の意思として許可が与えられたのなら(例えば、議会運営委員会での取決めや先例への追加)委員外議員が委員会の議決に参加することも認められる。
C 委員会のメンバーではない者が委員会の意思決定に参加することはできない。

お悩みへのアプローチ

 委員外議員というのは、その名のとおり委員会のメンバー(委員)ではない議員のことです。委員会が出席・発言を求める場合と、逆に委員外議員から発言の申出を受けて委員会がこれを許可する場合とが考えられますが、どちらも会議規則に定められているのが普通です。例えば、標準市議会会議規則にも次のようにあります。衆議院規則46条、参議院規則44条にも同じような趣旨の規定が置かれています。

○標準市議会会議規則
 (委員外議員の発言)
第117条 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明又は意見を聞くことができる。
2 委員会は、委員でない議員から発言の申し出があったときは、その許否を決める。

 委員外議員の制度は、審査や調査をより広い視点で行うことができるよう設けられました。それぞれの議員は専門分野を持っていることも多いものです。「高齢者問題なら○○議員」、「指定管理者問題に詳しい××議員」、「財務にめっぽう強い公認会計士の△△議員」のようにです。「委員外議員といっても仲間さん」のところの委員外議員も観光に豊富な知識がある方のようです。こうした専門的な知識や様々な関心を持った議員が集まっているところが議会の強みです。議会には一定以上の議員数が必要とされるのもそうした理由から導かれます。
 ところが、委員会においてはメンバーの数も限られており、しかも、委員の所属の割振りが希望どおりにならない場合も多いという現実があります。そのため、多くの議会で「悲しいミスマッチ」が起こっています。問題の委員外議員も建設経済委員会の所属を希望したのでしょう。専門知識もあり、しかも関心が高い議員が希望の委員会に配属されなかったということは、もしかしたら、所属の会派の力不足によるものなのかもしれません。「寄らば大樹の陰」などといいますが、大会派に属していないとこんなところでも割を食うわけですが、委員外議員の制度は、こうしたミスマッチもカバーしてくれます。また、力がある会派に所属する議員であっても、「当選回数を重ねた議員が希望の委員会を選んでしまった」という場合もあるでしょう。国会なら、その日の審議だけ「委員の差替え」でカバーするという方法もありますが、自治体議会では古参議員にはじき出された議員は委員外議員として参加するしかありません。こうした理由や状況から、会議規則に定められているのが委員外議員の仕組みなのです。問題の委員外議員も積極的に委員会審議に関わっていたのでしょう。そして、委員会の意思に参画したくなったのでしょう。気持ちはよく分かります。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る