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2016.07.25 議会運営

第48回 議員のヤジの取扱い

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株式会社地方議会総合研究所所長 廣瀬和彦

議員のヤジの取扱い

Q本会議における議員の一般質問中に他の議員より不穏当なヤジが述べられたため、議員が当該ヤジに応酬して発言したが、このような応酬をすることは議事運営上問題ないのか。

A1 議員の発言とは
 議会は言論の府であり、地方公共団体の意思決定機関であるから、その構成員であり住民の負託を受けた議員は、議員としての職責を全うするために議員としての発言が十分保障される必要がある。これが会議原則の1つである発言自由の原則である。
 議員は地方公共団体全体の代表者・奉仕者として私利私欲にとらわれず地方公共団体全体の利益を勘案した言動を行う必要があり、議会には自由闊達(かったつ)な雰囲気の中での活気ある議論が行われることが期待されている。

2 国会議員と地方議員の発言に対する保障の違い
 国会議員は憲法51条で「議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と免責特権が認められ、刑事・民事の両方において院内で行った発言について院外で責任を負わないことが規定されている。
 しかし、地方議員には憲法及び地方自治法において国会議員のような免責特権の規定は存在しないため、議会における発言について議会外において名誉毀損罪や侮辱罪、不法行為による損害賠償請求としての責任を追及されるおそれがある。
 なお、名誉毀損罪は刑法230条により公然と事実を適示して人の名誉を毀損することであり、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処することができる。侮辱罪は刑法231条により事実を適示しないで公然と人を侮辱することであり、拘留又は科料に処することができる。
 ちなみに、国会議員も地方議員もその発言によって法的な責任とは別に、政治的責任・道義的責任を住民に対して負うことがあることに留意を要する。

3 発言における品位の保持
 地方自治法は132条において、議員は本会議又は委員会において無礼の言葉を使用したり、他人の私生活にわたる言論をすることを禁止している。
 この規定の趣旨は2つある。1つは本会議や委員会の場は地方公共団体の事務に関わる公の問題を議論する場であって、議事に関係のない個人の問題を議論すべきではないこと、2つ目は無礼の言葉や私生活にわたる言論や人身攻撃等によって議会の秩序が失われることを防ごうとすることにあるといえる。

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