2016.06.27 議会改革
第2回 地方自治の特徴――二元的代表制と二層制――
山梨学院大学大学院社会科学研究科長・法学部教授 江藤俊昭
今回の論点:日本の地方自治の特徴を確認しよう
日本の地方自治の特徴を確認することが、今回の目的である。地方自治には、2つの特徴がある。1つは、自治体の二元的代表制=機関競争主義(地方政府形態、詳細は別途)である。憲法が、議会の設置とともに、議員と首長(及び法律で規定する吏員)の公選を規定しているが、これだけではなく、住民と歩む自治体、議員間、住民・議員・首長等の討議空間としての議会などの特徴を併せ持っている。もう1つの特徴は、自治体の二層制(市町村と都道府県)である。実際に全国画一的に制度化されている。
なお、自治体という用語は一般に用いられているが、憲法や地方自治法(以下「自治法」という)では、地方公共団体として定義されている。その地方公共団体として対象とするものは、憲法上議論がある。また、法令上(自治法等)では、地方公共団体とは市町村や都道府県(普通地方公共団体)だけではなく、特別地方公共団体(現行では、都制下の特別区、一部事務組合、広域連合、財産区)をも指す。地方政治の重要性を強調する本連載では、地方公共団体ではなく、地方政府という用語を活用する(次回)。ただし、本連載では、地方自治体、自治体、地方政府を明確に使い分けず、適宜文脈に合わせて用いている。なお、地方公共団体という用語は、憲法や法律を議論する場合以外は極力用いない。
① 日本の地方自治の1つの特徴:二元的代表制
② 日本の地方自治のもう1つの特徴:二層制、及び補完性の原則
③ 憲法上の地方自治の意味
④ 地方自治体の種類と役割
地方政治の台頭を念頭に置けば、それによって生み出され、それを活性化(あるいは停滞)させる地方自治体の特徴を確認する必要がある。独自財源・徴税権もあり、担い手(議員や首長)を住民が直接選挙するのが地方自治体だからである。そこで、日本の地方自治の特徴である全国画一的に制度化されている二元的代表制と地方自治体の二層制を探る。本連載では、独自財源・徴税権を有し直接選挙によって代表者を選出している市区町村や都道府県を主な地方政治の磁場と考えている。とはいえ、今日自治体間連携の重要性が高まっていることに鑑み、それ以外の一部事務組合や広域連合の重要性も念頭に置いて議論を進めていく。