地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2016.06.10 議会改革

第26回 どの大学と連携協定を結ぶべきなのか?

LINEで送る

議会事務局実務研究会 吉田利宏

■お悩み(卒業以来30年さん 50代)
 郊外の市の議会の議長をしています。当議会も議会基本条例の制定を終え、今度は大学との連携を模索しているところです。当市には大学がひとつあります。私の母校でもあり、ほかに2人の議員がその大学の出身者です。ただ、社会科学系の学部がありません。そのため、連携するなら県庁所在地にある国立大学がいいのではないかという議員もいます。議会としてはどちらの大学に連携を申し込むべきか迷っています。アドバイスをお願いできたらと思います。

回答案
A どんな形で連携を図るかを考える必要はあるが、双方の大学と連携協定を結んでも何の問題もない。
B 専門的知見を得ることができないと連携協定の意味はないので、国立大学と連携することが望ましい。
C 連携は、議会の地域における社会貢献であることを踏まえると、市内の大学と連携するべきである。

お悩みへのアプローチ

 「議会と大学は似ている者どうし」。そう感じるのは私だけでしょうか。それぞれの職員が集まって覆面座談会などをやってみると面白いことでしょう。「外の世界の常識とはまるで異なるルールがある」、「××な『偉い人』がやまほどいる」などの発言に「ある! ある!」と大いに盛り上がるはずです。
 そんな「孤高の存在」ともいえる両者がこのところ急接近です。全国市議会議長会の調査(市議会の活動に関する実態調査結果:平成26年中)によると、大学等と連携協定を結んでいる市は6市にすぎないとのことですが、平成27年、28年と、その数は大幅に増えている実感があります。この背景にはどんなことがあるのでしょう。
 まずは、大学が地域における社会的な存在になろうとしていることがあります。少子化の中での大学の生き残り戦略のひとつといえますが、それ自体は悪いことではありません。住民の代表である議会とつながることは、ある意味、地域につながることであり、地域に貢献することでもあります。一方、議会からすれば大学の持っている情報や知見を議会に生かしたいと考えています。それが地元の大学なら、連携を通じて地域を盛り上げることにもつながります。こうした中で、「大学の政策立案の支援」と「市議会へのインターンシップ」を柱とした連携協定が生まれるというわけです。今はやりの言葉でいえば「ウィン・ウィンの関係」といえるでしょうか。

回答へのアプローチ

 お悩みを拝見すると、揺れ動く気持ちがよく分かります。市内にある大学との連携を図りたいけれども、議会が得られる情報や知見という意味では、県内の国立大学との連携の方が優れているのではないか悩んでいるのでしょう。こうした悩みは人生にはつきものです。「地元に帰って親の商売を継ぎたいけれど、都会に出て自分の能力を試してみたい気持ちもある」、「実直で不器用な彼(彼女)を愛しているが、少し危ない感じの都会的な彼(彼女)にも心ひかれる」。いつも人は矛盾した思いに振り回されるものです。ただ、こうした悩みと違うところは、「二者択一」ではないということです。卒業以来30年さんは、「市内の大学」か「県庁所在地の国立大学」かで悩んでいますが、どちらかを選ぶ必要はありません。相手方の意向はもちろんありますが、必要と感じるなら、どちらも選べばいいのです。一緒に市を盛り上げるパートナーとして市内の大学を、専門的知見を授かる支援先として県内の国立大学を連携協定の相手としても何の問題もありません。回答としてはAとしたいと思います。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る