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2016.05.25 政策研究

【フォーカス!】成果、本当の検証を

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

成果、本当の検証を  

  「ニッポン一億総活躍プラン」に日本再興戦略2016、地方創生基本方針2016、規制改革実施計画、「女性活躍加速のための重点方針2016」など、さまざまな政策がまとまってきた。しかも官邸主導による作成だ。
   今年は5月末にG7伊勢志摩サミットが開かれ、それに7月には参院選(もしかしたら衆参同日選)がある。通常は8月末の来年度予算の概算要求に向けて行うことが、すべてが前倒しになっている。
   例えば、総活躍プランの内容を見ると、①名目国内総生産(GDP)600兆円は2021年度までに達成する、②希望出生率1.8と介護離職ゼロは2025年度までに達成する、③「同一労働同一賃金」に向け法改正し正社員と非正規労働者の賃金格差を欧州並みに縮小する―など意欲的な数字が並ぶ。
   これが成功すれば、さぞこの国はよくなるのだろうと期待を持たせる政策である。ロードマップもある。ただ、霞が関がまとめる政策の目標はあくまでも目標である。例えば、GDP600兆円については2021年度までの工程表がある。
   なので、2021年度までに達成すると読めるのだが、本文では明確に示してはない。少し逃げがあるのかと勘繰りたくもなる。他の政策も大同小異だ。
    霞が関のある省庁が進める政策に関して、面白い表現をする官僚がいた。「昔は爬虫類行政と呼ばれた。政策という卵を産んでいるだけで、鳥類のように温めもせず、もちろん哺乳類のように育てもしない。それが、今や魚類行政と呼ばれるようになった。大量に生んでいるだけだ」
   つまりは政策という卵を大量につくりだしてはいるが、育てようもしない。そろそろ成果が上がっていることだと、周りが気にすると、また新しい政策、あるいは新しく見せるため化粧直しをした政策が大々的に発表される。
メディアも世の中も新しいものに振り回されて、従前の政策が成果を上げたかどうか検証するいとまもない。そういう状況に陥っている。あるいは、誘い込まれているのだろうか。
   これを安倍晋三政権の政策に当てはめると、どうだろうか。就任以来、3本の矢を放ち、地方創生総合戦略などいろいろな政策を打ち上げてきた。毎年、その実施状況をチェックし、計画を見直している。行政評価のサイクル、PDCAを使っており、絶えず見直しており問題はないということだろう。
   だが、それだけだろうか。安倍首相の国会答弁を聞いていても、都合のいい数字に対しては大々的に宣伝し、不都合な数字については強弁を繰り返す。政策の成果を真摯に受け止める態度には欠けるように見える。
いくらPDCAサイクルを入れても、受け止める側がこれでは意味がない。しかも、一億総活躍プランだけみても、数値目標があるのだが、その裏付けが乏しい。政策と目標についての有機的なつながりはない。昔からよくいわれる「各省庁の政策をホッチキスでとめだけ」となる。
   安倍政権全体が魚類行政になっていないのか。懸念が出てくるのも理解していただけるだろう。
 

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