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2016.03.25 政策研究

イチからわかる! 予算編成と決算分析(下)

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■財務書類、バランスシート(BS)の活用
 前述の調査資料によれば、2013年度決算に係る財務書類の作成済み団体(1,239団体)のうち、財務書類の活用状況(複数回答)については、「財政指標の設定」が327団体(26.4%)で最も多く、続いて「地方議会での活用」が321団体(25.9%)、「適切な資産管理」が126団体(10.2%)、「予算編成への活用」が96団体(7.7%)、「施設の統廃合」が26団体(2.1%)となっています。
 ただし、この活用状況の中で最も多い回答である「財政指標の設定」とは、どのような内容であるのか不明です。そして、この財政指標とは、従来の財政主要指標の分析を指すものであるのか、具体的にどのような内容であるのか不明です。というのは、財務書類の作成については、これまで主要指標について財政分析されてきた内容が直ちに反映されてはいません。つまり、従来の財政指標の分析ができる資料ではないとすると、数値の目標設定や指標数値の増減値について議論するのは困難である、といえるからです。もちろん、民間企業の財務分析のような分析は可能ですが、そもそも民間企業の財務内容と公会計とは、内容が相当異なる点があることはよく指摘されています。「回答の項目内容の表現が適切ではない」というと、いいすぎでしょうか。
 また、「地方議会での活用」についても、「単に、結果について議会に報告、説明しただけである」のか、具体的な内容は不明です。市区町村議会で、財務書類の内容や活用について有益な議論をしたということは、筆者は寡聞にして聞いたことはありません。回答の項目内容としては、「議会への報告」が妥当なのではないかと、推察しています。回答の項目を適切な表現にすると同時に、その内容についても、吟味する必要があるといえます。
 財務書類、バランスシートについては、具体的にどのように作成・活用しているのか、確認することが重要です(3)

■地方債発行(借金)の問題
 地方債発行は資産形成の側面はあるものの、基本的には公債費(借金)として返済するものですから、公債費返済計画は順調であるのか、確認することが重要です。
 公共公益施設を整備する際には、「地方債(借金)を発行する」、その意味では、施設整備を行うために、多くの自治体では借金で賄うのが実態です。筆者は、借金すること、それ自体を否定しているわけではありません。問題は、その借金残高は現在いくらあるのか、また借金返済(公債費償還)のピークはいつなのか、そのときの財源は十分あるのかなど、その実態を正確に把握しているのかどうかが、問題なのです。この場合、将来の〈地方債発行〉、〈公債費償還〉、〈地方債現在高〉などについて、少なくとも正確に把握しているのかどうかが重要です。
 前述したように、財政シミュレーションなどの手法について、合理的な科学的手法(計量経済学モデルやシステムダイナミックスモデル(SDモデル)等)を用いて、将来の見通しの推計手法により、エビデンスが示されているのかどうかが、問題なのです。

■不用額の問題
 不用額があまり過大な数値になっている場合は、問題でしょう。不用額の理由について確認することが重要です。例えば、経費縮減の効果などによる不用額の発生であるのかどうか、それとも予算見積りの過大によるものであるのかどうか稟議時にチェックしましょう。不用額による繰越金額が多いことへの対応、対処について、どのように行っているのかについても併せて確認することが重要です。

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