2016.03.25 政策研究
イチからわかる! 予算編成と決算分析(下)
第3セクター研究学会会長(前・東北公益文科大学大学院教授) 出井信夫
3 「決算委員会」審議のポイント
「決算委員会」における「決算分析」の審議については、次のような視点が重要です。基本的には「決算書」は、監査委員の監査を経て、「決算委員会」、「議会」に提出されることになるわけです。「決算書」の審議のポイントは、ある意味では、予算書の裏表の関係となります。重複する内容も多々ありますので、簡単に審議のポイントを整理します。大要、次のような諸点に、留意してください。
■決算書の数値の確認
決算書の数値については、《前年度と比較した》増減額や増減率は明示されています。ただし、これらの数値は、《予算書における数値ではない》ことに留意してください。【款・項・目】の数値を確認してください。また、予算書の数値とどの程度異なるのか、確認することが重要です。予算書の数値と著しく異なる増減がある場合には、その理由について確認することが重要です。
■基本計画などとの整合性の確認
基本計画などの進捗状況や基本計画などとの整合性について確認することが重要です。
前項の予算書と同様の確認が重要です。詳しくは予算書の項を参照してください。
■PDCAサイクルの推進
決算書は、予算書と同様に〈各自治体で作成されたPDCAサイクル〉に準拠しているかどうかについて確認することが重要です。詳しくは予算書の項を参照してください。
■財務書類の作成
総務省が平成27年7月7日発表した報道資料「地方公共団体における統一的な基準による財務書類の作成予定」(平成27年3月31日調査)によれば、1,755団体(全団体の98.2%)が要請期間内の平成29年度までに一般会計等財務書類を作成完了予定となっています。
平成25年度決算に係る財務書類の作成団体(作成済み又は作成中の団体の合計)は、全団体の93.7%に当たる1,675団体です。このうち作成済み団体は、全団体の69.3%に当たる1,239団体です。都道府県については44団体(93.6%)、指定都市については16団体(80.0%)、指定都市を除く市区町村については1,179団体(68.5%)が作成済みです。未着手団体は、全団体の6.3%に当たる113団体です。
① 「基準モデル」(「基準モデル」とは、「新地方公会計制度研究会報告書」(平成18年5月)に示された、個々の取引等について発生の都度又は期末に一括して発生主義により複式仕訳を行うとともに、固定資産台帳を整備して財務書類を作成するモデル)による作成済み団体は、都道府県4団体、市区町村220団体、合計224団体です。
② 「総務省方式改訂モデル」(「総務省方式改訂モデル」とは、「新地方公会計制度研究会報告書」(平成18年5月)に示された、公有財産の状況や発生主義による取引情報を、個々の複式仕訳によらず、既存の決算統計情報を活用して作成するモデル)による作成済み団体は、都道府県35団体、市区町村954団体、合計989団体です。
③ 「旧総務省方式」(「旧総務省方式」とは、「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」(平成13年3月)等に示された方法で作成するもので、総務省方 式改訂モデルの基礎となったモデル) による作成済み団体は、都道府県0団体、市区町村13団体、合計13団体です。
④ 「その他のモデル」による作成済み団体は、都道府県5団体、市区町村8団体、合計13団体です。
なお、作成中の436団体の詳細状況については、紙幅の関係で省略します。同報道資料を参照してください。
一方、固定資産台帳の整備状況については、「整備済」が332団体(18.6%)、「整備中」が844団体(47.2%)、「未整備」が612団体(34.2%)となっています。
平成25年度決算に係る財務書類の作成済み団体(1,239団体)のうち、1,205団体(97.3%)が財務書類を公表又は公表予定としており、このうち「ホームページ」で公表(予定)としている団体が1,178団体(95.1%)で最も多く、続いて「広報誌」が336団体(27.1%)、「財務報告書(冊子)」が208団体(16.8%)となっています。