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2016.03.25 議会運営

第46回 定例会最終日に定足数を欠いた場合の取扱い/議長・議会事務局長に対する質問の是非

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明治大学政治経済学部講師 廣瀬和彦

定例会最終日に定足数を欠いた場合の取扱い

Q現在3月定例会を開催中であるが、当該定例会の会期最終日まであと3日を残して議員の半数以上がインフルエンザにかかってしまった。そのため会期最終日の本会議開催が難しい状況となった。しかし、会期最終日には次年度予算の委員長報告をした後、当該予算案を議決する予定となっている。この場合、当該予算案に対する取扱いとしてどのような対応が考えられるか。

A長は予算について地方自治法(以下「法」という)211条1項により年度開始前に議会の議決を経なければならないこととされている。

【法211条】
① 普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。

 しかし、本問におけるように議員の半数以上がインフルエンザにかかり、定例会最終日の本会議において議員定数の半数以上の出席が見込めない場合にどのような措置をとり得るかを考えてみる。
 まず本会議最終日に出席議員が議員定数の半数に達しない見込みであり、現状においてもすでに半数以上の議員がインフルエンザにかかっているとなると、定例会最終日まで定足数を満たして本会議を開催することはできないこととなる。
 ここで、本会議を定足数を満たさず開催し、意思決定を行うことができる取扱いとして、法113条ただし書における出席催告の手法を用いることが考えられる。すなわち出席催告とは、本会議を開催するに当たって定足数を満たさない場合において議長が応招議員全員に対して会議に出席する旨を催告し、出席催告をしてもなお定足数に達しないときには定足数に満たないままで会議を開催できることをいう。

【法113条】
 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。但し、第117条の規定による除斥のため半数に達しないとき、同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなったときは、この限りでない。

 本問における出席催告の活用方法としては4通りが考えられる。すなわち、①定例会最終日又は最終日までの間に本会議を開催し、定足数に満たない状況で議長が出席催告を行い予算案を審議・議決する、②定例会最終日又は最終日までの間に本会議を開催し、定足数に満たない状況で議長が出席催告を行い会期を延長する、③定例会最終日又は最終日までの間に本会議を開催し、定足数に満たない状況で議長が出席催告を行い、本会議において継続審査の動議を可決する、④定例会会期終了と同時に予算案は審議未了廃案となることから、長により法179条による議会において議決すべき事件を議決しないときとして当初予算の専決処分を行う、が考えられる。
 どの方法を採用することも可能であるが、④の当初予算の専決処分は当初予算の重要性を鑑みると適当でないため、長は再度当初予算を提出し、年度内の議会の議決が困難であると判断した場合は暫定予算を提出し取り扱うことが適当である。

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