2016.03.25 議会改革
『地方議会に関する研究会報告書』について(その9)
議会図書室
『報告書』の第3の方策は、議会図書室の問題である。地方自治法100条19項では、全ての議会において、議員の調査研究に資するために図書室を附置することとされている。実際の議会図書室の機能は、予算、蔵書数、職員・スタッフなどによって大きく異なる。司書資格を持った専任職員を配置すれば、人的には機能は強化される。また、『報告書』では、ICT活用によって、機能共有があり得るし、全国共通課題では三議長会の調査研究の活用なども可能であるという。
実際、蔵書が限られている場合には、検索データベースを通じて、相互貸借すれば問題は解決する。さらに、今日では、古典的な紙の蔵書・資料が配置・配架・所蔵されている図書室イメージを超え、いかにデータを検索できるかの方が重要であろう。他の自治体の先進事例などは、インターネットで検索するのが最も迅速かつ簡便である。そうしたデスクトップ調査を踏まえて、その上で必要に応じて電話調査をしたり、資料請求をしたり、訪問調査をしたりすればよいのであって、むしろこうした検索や調査を助けてくれる人材が必要なのかもしれない。
また、通常、自治体は公立図書館を持っているのであって、あえて独自の議会図書室が必要なのかは、検討の余地があろう。むしろ重要なのは、自治体の公的文書、さらには、逐次更新される過去のホームページなどの蓄積を、きちんと保管する公文書館機能かもしれない。
【つづく】
(1) 『報告書』そのものに忠実に表現すると、「Ⅲ」とローマ数字が裸で記載されており、「第Ⅲ章」という表記ではない。しかし、本稿では、単に「Ⅰ」「Ⅱ」……では分かりにくいので、章立てとみなして、「第Ⅰ章」「第Ⅱ章」……と表記する。その下位項目は「1」「2」……であるが、「第1節」「第2節」と表記する。さらに、その下位項目は、(1)①となっている。
(2) 相模原市議会と町田市議会が、包括連携協定を結び、政策形成及び調査・研究、人材育成及び研修・研究環境の充実などの目的で、議会事務局職員の相互派遣を予定しているという。『議員NAVI』「議会REPORT」(2016年3月25日)掲載。