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2016.02.25 議会改革

『地方議会に関する研究会報告書』について(その8)

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之

はじめに

 これまで7回にわたり、総務省に設置された「地方議会に関する研究会」の最終報告書である『地方議会に関する研究会報告書』(以下『報告書』という)を検討した。前回は、議員に求められる役割・資質のうちの「専門性」を取り上げてみた。今回も、引き続いて、この『報告書』を検討してみよう。
 『報告書』の「第Ⅲ章(1) 地方議会の議員に求められる役割」では、代表性と専門性に焦点を据えた「第1節 地方議会の議員に求められる役割・資質」を受けて、「第2節 議員の活動の支援機能のあり方」を検討している。今回も『報告書』に沿って、この点を論じておこう。

議会事務局の機能強化?

 通常、議員を強化する観点からは、(1)として、「議会事務局の支援機能」を強化することが提唱される。『報告書』も、第29次地方制度調査会答申を引用する形で、同様のスタンスに立つことを示している。しかしながら、『報告書』によれば、実際はそのようには進んでいない。都道府県などで政策調査などを担当する課室の設置が進んでいるものの、行政改革などにより事務局職員数の増員は難しい、という。また、議会事務局職員は議長が任免権(2)を持っているが、執行機関の職員として採用された者が、人事ローテーションの中で議会事務局に配属されている、という。
 議会事務局に充分な人員を割けないのは、ある意味で当然である。行政改革で定員削減をしているさなかに、議会事務局に増員することに実現性があるとは思えない。また、仮に行政職員を増員できるような状況であったとしても、執行部局に比して議会事務局が充実することは、まずあり得ないだろう。常に、比率的にいって、執行部局の所管課に職員は振り向けられるのであって、個別行政分野の専門知識において、議会事務局が執行部局に太刀打ちできるはずはないのである。つまり、議会事務局の強化を主張する限り、「百年河清を俟(ま)つ」がごとく、ほとんど意味がないということである。
 このような意味のない提言を繰り返すことの意味を推論することは難しい。あえて考えれば、「議会の支援機能は強化したくないが、強化しないと直言すると角が立つので、できもしない提言を述べることで、強化を進めないようにする」という程度のものであろう。『報告書』もこのようなスタンスになっているのかもしれない。

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