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2016.01.15 政策研究

【フォーカス!】政治的なTPPの効果分析

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

政治的なTPPの効果分析

  環太平洋連携協定(TPP)の経済効果分析が2015年12月24日、甘利明経済再生担当相から経済財政諮問会議に提出された。協定が発効しその効果によって新たな成長経路に移行した時点、いわば10~20年後に国内総生産(GDP)を2.59%アップさせる効果があるとする。2014年度水準の約524兆7000億円から換算すると13.6兆円引き上げ効果があるという内容だ。
TPPに関しては日米など参加12カ国が2月上旬にも協定文書に署名、各国が批准の手続きに入る。米国は大統領選の年、民主党の最有力候補であるクリントン前国務長官は雇用創出での課題を挙げて反対を表明している。オバマ大統領が大統領選前に批准に踏み切れるかが最大のポイントだ。
 一方、日本はTPP対策費3403億円を盛り込んだ2015年度補正予算案を通常国会に提出、その後、TPP承認案を国会に出す予定だが、米国の動きをにらみながらの対応になるだろう。
 このように発効さえ見通せない中で、この効果を額面通り受け取るのは難しい。かなり政治的にもバイアスがかかった効果分析と考えるのが妥当だろう。
というのも、TPP交渉参加前の2013年3月の政府試算では、GDP押し上げ効果は3兆2000億円、農林水産物の生産減少額は3兆円だった。今回の試算はこれに比べGDPへの効果は4倍以上、農水分野の影響は10分の1以下となるからだ。
 「計算方法が違う」「前提条件が異なる」などと言えばそこまでだが、ここまで差が出ることに対し、何らかの政治的な意図は感じざるを得ない。
 1億総活躍と銘打って、名目GDPを2020年度ごろまでに600兆円に伸ばす目標を掲げる安倍晋三政権である。あらゆる政権の示す経済的な試算は、複雑な性格を持つものとして受け取るべきである。多かれ少なかれ、政権維持のツールとしての側面を持つ。
▼主な資料
・TPP分析結果
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/1224/agenda.html
 

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