2015.12.25 議会改革
マニフェスト大賞こそ地方創生~10年のあゆみとこれから~
4 次の10年に向けて
マニフェスト型で実行委員長を選出
2015年で10年目を迎え、質量とも大幅に拡大してきたマニフェスト大賞だが、運営方法に大きな変化があった。それは、実行委員長を選挙で選ぶことになったことだ。
LM地議連の運営委員の中から、やってみたい人が立候補し、どのように運営をするかのマニフェストを示し、運営委員が投票して選ぶ、いわば選挙方式で決めることになった。マニフェスト大賞の実行委員会がマニフェスト型に進化したことになる。
本来は全国組織であるため、全国で演説会を行い投票すればいいのかもしれないが、時間的な制約もあることから、マニフェストをプレゼンする様子をネットで配信し、投票した結果、子籠敏人実行委員長(あきる野市議会議員)、山中啓之副実行委員長(松戸市議会議員)、鈴木綾子副実行委員長(江東区議会議員)、草間剛副実行委員長(横浜市会議員)が選出された。
このことは、委員長を担える人材の裾野が広がっているともいえる。自ら手を挙げて責任者に就き運営を行うことは、今後のさらなるパワーアップにつながっていくに違いない。
プレゼン研修会の意義
本稿では書き切れないような手間と時間をかけて実現しているのがマニフェスト大賞だ。2015年で10回目を迎え今後をどうすべきだろうか。
マニフェスト大賞には、今回書かせていただいた課題を含め実行委員会の中で様々な意見が出ている。それぞれの解決策を考えることは、LM地議連のあり方にもつながるため、毎年、議論が尽きない状況で、結果としてまとめ切れていないのが実情だ。
だが、ひとつの方向性として大きな意義を持つ動きが出てきている。それは、マニフェスト大賞授賞式の前日に行う「プレゼン研修会」だ。
マニフェスト大賞受賞者が自らの政策を会場参加者へプレゼンテーションを行い、書面では分かりにくいことを、ビジュアルや言葉でどのように伝えるかを競い合う内容になっている。参加者からは、いろいろなジャンルの政策を一度に聞くことができることや、政策のエッセンスがすぐに分かると好評で、授賞式に負けないほどの注目を集めるようになった。
受賞者によるプレゼンの時間は3分間。時間が短すぎるとの意見はあるが、多くの受賞者がプレゼンできるための時間配分であるというだけではない。民間では、数十秒で内容を伝えないとプロジェクトは動かせない、テレビのニュースは短時間で中身を伝えているなどの意見もあり、何よりも時間を長くすれば中身がよくなるものでもないとの考えから、この3分間は考えられている。
これは、会議で要点をA4判1枚にまとめるのと同じ考えだ。何が問題で、どのように解決するかをまとめる力が必要になり、関心の低い人へも伝える力が必要となる。短くまとめることで、どこに本質があるのかを知ることにもつながっている。
プレゼン研修会では、全てのプレゼンの中から最も印象に残ったものを参加者がその日に投票し上位3名を表彰している。この結果、マニフェスト大賞の最優秀賞とは別の人が受賞していることは非常に興味深い。優れた政策が優秀賞として毎年選ばれているが、その政策への光の当て方次第で、より意味が出てくるのかもしれない。今後に大きな可能性を持つ研修会だろう。
11回目がすでにスタート
プレゼン研修会が好評であるため、授賞式でも同じようにできないか、応募がより手軽にできないかなど今後のマニフェスト大賞についての議論は、実行委員会では尽きていない。
しかし、当初の目的のように、より多くの人に知られ、アカデミー賞のようになれるかの具体策は、現在のところ見えていないのが実情だ。
その状況でも現在は11回目をどのようにしてすべきかの協議がすでに始まっている。2016年夏には11回目のマニフェスト大賞応募が始まり、授賞式は11月11日(金)にアカデミーヒルズで行い、前日にはプレゼン研修会を行うということもすでに予定されている。来年度への動きが始まっているのだ。
地方政治、地方議会を大きく変えてきたマニフェスト大賞。今後もこれを続けていくことで政治改革の裾野を広げたい。そして、その結果が日本の政治を変えていくと信じている。
今後もご期待ください。そして、応募もお願いします。
(1) 政権公約のパーティ・マニフェストに対して、地方議会、議員のマニフェストをローカル・マニフェストとしている。