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2015.12.25 政策研究

【フォーカス!】パリ協定、実効性が課題

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

パリ協定、実効性が課題

 国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)がフランスのパリで、11月30日から12月13日まで開かれた。最大の成果は、2020年以降の地球温暖化対策の新たな世界的な枠組み「パリ協定」を採択したことだ。排出削減を求める法的な文書は、先進国に排出削減を義務付けた1997年採択の京都議定書以来、18年ぶりとなる。
 パリ協定には、米国や中国、日本など190カ国を超える国が参加、2020年の発効を目指している。発効には55%以上の排出量に相当する55カ国の批准が必要で、各国の排出量の比率は中国20.09%、米国17.89%と米中で38%に迫る。続いて欧州連合(EU)、ロシア、インド、日本の順と日本は6番目の排出国の扱いとなる。
 協定の採択を受け政府は、地球温暖化対策推進法を見直し、日本の約束草案を国内の削減計画として位置付ける方針。「2030年までに2013年比で26%削減(2005年比25.4%削減)」という目標を実行する計画づくりも始まる。約束草案では業務部門、家庭部門がそれぞれ40%、39%の削減が要請されており実効性のある道筋を示せるかが焦点となる。
 「パリ協定」とは各国が批准すべき狭義の「パリ協定」と、批准の必要がない「COP決議」の2本立て。決議の方が分量は多く、定量的な数値を盛り込むなど異例の構成だ。その理由は米国の存在だ。米国では国内法で担保されていない条件が含まれれば議会に批准を諮る必要がある。もし狭義のパリ協定に批准が必要な事項が入ったとすれば、米国は議会の反対を受け批准できず、新しい枠組みに参加できない恐れが強い。このためパリ協定の中身は、大統領の権限で批准できる範囲にとどめ、具体的で各国に厳しい内容は決議に落とし込んだと言えるだろう。
 狭義のパリ協定では、長期的な目標として、①産業革命前からの気温上昇は2℃を十分に下回る水準に抑え、被害の深刻な小島しょ国に配慮し1.5℃以下にするための対策を講じる、②今世紀後半に排出と、森林や海などによる吸収のバランスを取ることで世界の温室効果ガス排出量を実質的ゼロにすることを目指す―が大きな柱となる。さらなる社会的な変革、ライフスタイルの見直し、産業構造の革新が不可欠となる。
 各国の目標については、約束草案を5年ごとに提出することを義務付けたほか、資金援助を実施することや先進国は2年ごとにそれを報告することも義務付けた。
 一方、COP決議は批准する必要はなく拘束力も発生しない。その分、具体的で各国に厳しい内容になっている。まず全体目標の補足として「現行の各国の削減目標では2030年の排出量は55Gtとなるが、2℃以下にするには40Gtにする必要がある」と対策の大幅な上積みが必要としている。
 各国の削減目標については、2020年までに提出またはアップデートする。その内容を2018年には再検討するとして、対策の上積みを要請した。日本もさらなる削減を求められることになる。資金は1000億ドルを最低として2025年までに上積みするよう求めた。

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