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2015.11.25 政策研究

【フォーカス!】第2ステージ

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

第2ステージ

 「アベノミクスは第2ステージへ移る。『1億総活躍プラン』をつくり、2020年に向けて実現に全力を尽くす」。安倍晋三首相が最近よく使うフレーズだ。来年夏の参院選に向け、成果を挙げているというイメージづくりのためだろうか、本当に達成可能なのか。第2ステージを考えてみたい。
 まず、1億総活躍プランの柱は、新しい「三本の矢」となっている。一つは、国内総生産(GDP)600兆円達成だ。バブル崩壊後、伸びが止まり500兆円前後をウロウロしているGDPを2割アップさせるという話だ。
現在も経済最優先ということだが、GDP速報値は2四半期連続のマイナス成長。日銀は2%の物価上昇目標を達成する時期について、原油安と国内景気の停滞を理由に何度も先送りし現在は「2016年度後半ごろ」だ。2017年4月には消費税は10%に引き上げる。チャイナリスクも高まっている。まだまだ先の話とはいえ、日本の人口減少が続き市場が縮小することを考えれば容易ではない。
 第2の矢が希望出生率1.8の目標だ。若い人が希望通り結婚して希望通りの人数の子どもを得た場合の出生率が1.8になるということだ。1人の女性が一生の間に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は現在1.42であることを考えれば、これも達成は難しい。
 待機児童ゼロの実現、幼児教育の無償化の拡大、多子世帯への重点的な支援だけでなく、高校や大学の教育負担を抜本的に減らさない限り子どもは増えないだろう。予算配分の重点を高齢者から子どもへ、あるいは、公共事業など他の分野から子どもへ本格的にシフトさせないと難しい。その決心があるかが問われている。
 次いで、第3の矢は「介護離職ゼロ」である。現在、年間10万人いるとされているが、介護施設やサービスの充実に加えて、企業の協力を仰ぐしかない。
 「GDPが伸びない」「給料が上がらない」「学生が学問に集中できるように就活の時期を見直せないか」。大きな問題があると、安倍政権は民間企業に要請する。最近はGDPアップのための「未来投資に向けた官民対話」まで始まった。
ところが就活のように政府の意思に従ったところ、現場が混乱、結局、来年から採用面接の時期を8月から6月に変更せざるを得なくなった。その責任は民間にあるという雰囲気である。問題解決を民間に丸投げし、失敗した責任は企業側にある。これでは政府の言うことに耳を傾ける気もなくなる。
 第2ステージというのは通常、第1ステージが終了することで基礎が固まり、次の段階に移ったことを意味する。安倍政権の場合、デフレ脱却がままならないことを考えれば、第1ステージの攻防が続く中、第2弾を撃ったという意味に使っているのだろうか。
そういえば、地方創生も第2ステージに入ったようで、地方の雇用をつくる「地域しごと創生会議」ができた。まだ地方創生の総合戦略を4割の自治体がつくり、補正予算によってつくられた地方創生の交付金が配られただけである。当初予算での配分は来年からだ。その段階で第2ステージとは、あまりにも気が早いのではないか。
 

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