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2015.09.10 政策研究

【フォーカス!】1080億円ショック

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

1080億円ショック

 来年度予算の概算要求に盛り込まれた「新型交付金」の総額は1080億円にとどまった。事業費ベースでは自治体の負担があるので、その倍の2160億円となる。2014年度補正予算で手当てした地方創生のための交付金が1700億円だったことを考えれば、地方自治体にショックと国の本気度を疑う声が出ている。
 約1750の全自治体が交付金の支給を求めたとすれば、1自治体当たり6千万円余にしかならない。しかも、既存の交付金や補助金の見直しという予算の化粧直しでひねり出したものだ。地方に流れるお金が1080億円分、純増になるというわけでもない。
しかも交付金をゲットするまでの手続きも大変だ。支援は人口減少対策のため自治体が2016年3月までに作成する「地方版総合戦略」に盛り込んだ施策のうち、新規性のあるものが対象となる。広域の観光振興策や日本版CCRC構想から名前を変えた「生涯活躍のまち」の移住策が中心となる。
 まず、総合戦略をつくるには、石破茂地方創生担当相が「『月月火水木金金』ではないですが、『産官学金労言』です」というように、産業界や行政、大学、金融機関、労働界、新聞社やテレビ局などの意見を聞くことが不可欠となる
都道府県レベルではいいが、市町村がマスコミの話を聞くのは大変だ。だが、「戦略をつくるのに聞いていないと、交付金を申請してももらえない恐れがある」というのが自治体の本音。形だけでも聞くしかない。
 支援を受けるため自治体がすべきことは多い。成果を検証することで「バラマキ」批判を避けるためとして重要業績評価指標(KPI)を政策ごとに設定する。国はその進み具合を毎年チェックして、交付額を決めるという。
 「自治体の箸の上げ下ろしまでチェックするのは問題だ」「少子化対策や地方活性化策は自治体の状況によって違う。自由に使える基金として自治体に任せた方が効果的だ」―というのが、地方分権、地方自治を強化する視点から一昔前までは正論だった。
これが、安倍晋三政権になって中央集権が強まっているともいえる。「アベノミクスの成果を全国津々浦々まで届ける」といわれれば、反論するわけにはいかないという心情からだろうか、それとも政権内の「安倍1強」が地方にも影響を及ぼしているのか。
 ある首長は言い切った。「言われるような地方創生策はずっと前からやっている。総合戦略は既存の施策を厚化粧して出し、交付金がもらえればもらうだけだ」。化粧直しには、厚化粧で応える。新型交付金のショックもあって、地方の心は離れ始めている。

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