2015.07.10 議会改革
第21回 一般質問の廃止は可能なのか?
議会事務局実務研究会 吉田利宏
■お悩み(改革まい進さん 市議会議員50代)
4期当選の市議会議員です。この数年は市議会の改革にまい進してまいりました。今選挙で何人かの新しい議員が当選しましたが、そのうちの1人が「一般質問など廃止したらどうか?」といいます。一般質問こそ、議会の行政監視機能と政策提案機能を発揮する最大の場でもあることを理解できていないようです。一般質問の廃止は議会の権限を放棄することに等しいと思うのですが、この点を確認させていただければと思います。
回答
A 一般質問制度の廃止はあり得る。場合によっては究極の議会の姿かもしれない。
B 一般質問制度は議会の生命線である。さらに内容を充実させることこそ励むべきことだ。
C 一般質問制度は地方自治法上、議会の権能として定められている。放棄することなどできない。
お悩みへのアプローチ
統一地方選挙前、4年9か月にわたって一般質問が行われなかった町議会のことが報道されました。「任期中に一度も一般質問をしないなんて、どういうつもりだ…」。そんな論調で批判の的になったのを覚えている人も多いことでしょう。
確かに、「一般質問」や会派を代表して行う一般質問である「代表質問」は、定例会の最大の見せ場です。市民からしても、当の議員からしても、一般質問のない議会なんて「お餅を食べないお正月」のように物足りないに違いありません。
「一般質問」のいいところは、「質疑」と違って、議題にとらわれないところです。また、自分の意見を述べることも許されます。つまり、好きな案件について、自分の意見を述べつつ、執行部に説明や所見を求めることができるのです。例えていうなら、自分のペースで一方的に技を繰り出せるプロレスのようなものです。相手(執行部側)がロープに逃げたり、ヒーヒーいったりすると議員の強さが際立ちます。演壇での雄姿は住民へのよいアピールになることでしょう。ただ、「見せ場」のためだけに時間を使うのはもったいない。そこで、市民への分かりやすさから「一問一答式」の導入や、行政監視機能や政策提案機能との関係でその方法を見直す動き(1)が出ています。効果的に一般質問が行われているかどうかが議会の成熟度を図るバロメーターともなっているといえるでしょう。ですから、改革まい進さんの「思い」は理解できます。