地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2015.06.25 議会運営

新人議員と会議の原則

LINEで送る

会議の原則

 どこの自治体議会にも、「会議はこのように行うべし」とするルールがある。会議の原則である。これは、長年の会議経験から生まれたいわゆる慣習法というべき性質を持っているが、拘束力が強いものは法令で規定されている。地方自治法120条は「普通地方公共団体の議会は、会議規則を設けなければならない」と規定し、自治体議会は、大体、同様の会議規則を設けている。これを中心に会議原則が了解されている。議会の基本を知らないと新人議員の活動は安易に流れやすい。
 一般には、定足数、過半数議決、一議事一議題、一事不再議、会期不継続、委員会審査独立に関する原則が定められているが、新人議員としては、何よりも、議事公開の原則をしっかり理解している必要がある。
 それは、住民が議会の会議の状況を直接見聞できる自由、会議の状況を報道機関が新聞、テレビ、ラジオ等によって広く一般住民に知らせる自由、本会議、委員会ともインターネット・モニターテレビで中継、一般質問は、ケーブルテレビで後日放映、またインターネットで録画配信、会議の状況を真正に記録した会議録を一般住民が閲覧できる状態にし、可能な限り広く配布する、ホームページで公開する等である。議会会議の模様は一般の目にさらされており、この公開原則の遵守こそ、議会が開かれた言論の府であることの証明になるからである。これに関連して、新人議員が、一議員として議会活動に関する情報を発信するため、ニューズレター等を配布するなど、積極的な情報公開を行うことは当然である。

大切な「議員平等の原則」

 会議の原則の中で、法令や会議規則に明定されていないため見落としがちであるが、最も重要なのは「議員平等の原則」である。議員の性別、年齢、信条、社会的地位、議員としての経験年数、その他の条件は、議会内において関係なく、発言権、表決権、選挙権は全ての議員に等しく認められている。
 これまで、自治体議会の中には、議運や会派間の申合せによって、この「議員平等の原則」に反し、新人議員を不当に軽視するような取扱いがなかったわけではない。例えば、海外視察の取扱要綱で「議員は、任期中(原則として1回)海外視察を実施できる。ただし、議員としての経歴が2年に満たない期間は除く」と定め、「旅費の限度額は、120万円とする。ただし、1期の議員は60万円とする」となっている場合がある。議員が対等で、しかも視察が調査目的であるにもかかわらず、期数が重視され、支給される金額に差がつくのはおかしい。海外視察不要論もあるが、海外視察を認めるならば、「議員平等の原則」を遵守すべきであり、もし期数による不当な扱いがあるならば、新人議員はこれを正すべきである。
 新人議員でも、議長選出で行使する選挙権はベテラン議員と平等である。会議の原則のひとつに「公正指導の原則(議長のあり方に関する原則)」がある。議員の中から選挙される議会の議長は、特定グループから推されて競争する場合が少なくないが、議長の当選が確定したら議会全体の議長になるのである。したがって、議長の立場は中立で、職務遂行は冷静、公平、関係法規にのっとった議会運営に万全を期さなければならない。この観点から、議長候補者がふさわしいかどうか判断し、1票を投ずべきである。
 新人議員は、5月の臨時会や初議会を経験することになるが、議会に提出された議案に対し、その内容をしっかりと調べ自信を持って発言し表決したかどうか問われる。会派に入っていれば、仲間意識で守られ攻撃されないと思っているようでは、新人議員としては情けない。議会は話し言葉が威力を発揮する場である。例えば、議案に対する質疑とは、「疑義を質(ただ)すもので、知っていることを答弁させる」ことである。そのためには知らないことは聞かない、知らないことは事前に調査して質疑に臨むべきであり、質疑によって現在の政策を変更させることができるのである。
 そのためには、議会事務局から規則・前例説明を受けるだけでなく、外部の議員研修プログラムに参加し、研さんを積むことが有用である。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2024年1013

グリニッジが経度の基準子午線となる(1884)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る