2015.05.25 政策研究
【実例 東京都足立区】老朽家屋等の適正管理
全国の地方自治体で課題となっている空き家問題。これまでの空き家対策では、問題のある空き家の除却と、まだ活用できる空き家の利用の2つの方向性が示されています。平成26年には議員立法による「空家等対策の推進に関する特別措置法」が制定、平成27年5月26日に施行が予定され、人口減少時代を迎え、今後議会としても執行部の対応を注視するなど、全国の自治体・議会でさらなる対策が求められます。
今回は、老朽家屋等の適正管理を中心として空き家対策に取り組んでいる東京都足立区の例をご紹介します。(編集部)
東京都足立区都市建設部建築安全課 渡辺隆史
「足立区老朽家屋等の適正管理に関する条例」制定に至る経緯
空き家対策に関連した足立区の条例は、空き家の有効活用を目指したものではなく、老朽家屋等の危険性を取り除くことを目的とした「老朽危険家屋対策」です。つまり、老朽化による倒壊や建材剥離等の危険、不審者の侵入などによる犯罪や火災の危険、耐力不足による地震時の倒壊・火災などの危険性を持つ家屋について対策をし、適正管理することを目的としています。
東京都ではこれまで「地震に関する地域危険度測定調査」(第7回について、平成25年9月公表)を行っていますが、危険度の高いランク4、5レベルの町丁目について、足立区の総数は他の自治体に比べても多くなっています(図1)。このような状況も、いち早く足立区が「老朽危険家屋対策」の条例制定に向けた取組を開始するための後押しになったといえます。