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2015.03.10 議会改革

議員定数と代表性

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間接民主制と直接民主制

 多数の市民が、一堂に会して議論・決定はできない以上、間接・代表民主制は不可避であると言われる。では、どの程度の人数であれば住民を再現的に代表できるのかが、議員定数を左右することになる。
 二元代表制論は、1人の首長でも住民を代表できるという見解であるから、代表性に複数性・多数性は必要ないともいえる。しかし、常識的に見て、多様な価値観・意見・境遇の全住民を、1人の首長だけで公平に代表できるとは思えない。つまり、二元代表制論で、首長が住民代表たりうるのは、首長が単体で住民を代表するのではなく、あくまで議会の代表性に、補完・牽制されることが前提となっている。したがって、首長だけでは代表性は完結しないのであり、それゆえ議会の代表性は不可欠ということになる。首長の直接公選制を維持したまま議会廃止をすると、一元代表制になるのではなく、無元(限)代表制になってしまうのである。
 もっとも、間接民主制の観点から代表性が必要であれば、直接民主制での補完がなされればよいともいえる。つまり、議会と町村(住民)総会は機能的に等価であり、住民総会又は直接民主制があればよいわけである。議会が住民代表性を有しなくとも、住民参加や住民投票があればよい。議員定数削減は、直接民主制の強化とセットであれば、代表性を確保することはできる。
 住民投票のような大がかりなものでなくとも、今日のICT技術を活用する方法はある。例えば、「電子会議室」を開催して議論を進めたり、頻繁に「電子住民投票」又は「電子住民世論調査」をしたりすればよい。この場合には、議会が住民を代表していなくとも、住民が自ら現前するわけであるから、代表してもらう必要はなく、民主制の観点からは問題はなくなる。
 もっとも、ネットや世論調査での「声」なるものが、議会での議論よりまともであるかには、かなりの疑いがある。そもそも、デジタル・デバイドといように、ICT利用技術の格差によって、参加の有無・濃淡にすでに代表性がない。さらに、深く考えずに一知半解で瞬時に形成される意見、罵詈雑言のような書き込み、他人が多数検索している情報に付和雷同するなど、現実に存在する議会の醜態よりも、さらにひどいのが実態ともいえよう。

統計的代表性

 何人くらいの意見を収集することが、住民の大まかな意見を代表するのに必要なのかは、世論調査などをするときの技術的論点である。世論調査のサンプル数は、対象が1万人を超えれば1,000万人であっても、ほぼ1,000人から2,000人で充分といわれる。マスコミの世論調査も、その程度の数で国民約1億3,000万人の意向を統計的に調査している。しかし、対象が少ない場合には、例えば、1,000人未満だと500人程度という、膨大なサンプル比率が求められる
 こうしてみると、国会議員の数が衆参両院合わせて750人程度というのは、統計的代表性もそれなりに適えていることが分かる。むしろ、選挙をせずに無作為抽出の方が、国民を代表できるともいえる。自治体の場合にも、議員が1,000人いれば、統計的に代表できる。しかし、自治体の議員は全国を集計すれば万単位の数はいるが、個別自治体において、議員数が1,000人というのはあり得ない。つまり、自治体議会の議員数は、住民の意見を虚心坦懐に、統計的に代表するには、少なすぎる。統計的代表性を持たすことはほぼ困難である

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