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2014.03.10 議員活動

質問力を上げよう 第2回 あなたの一般質問を政策にたどりつかせるための戦略の話

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監査質問か政策提案質問か

 その一般質問では何を問い質し、問題提起したいのか。書き出して整理してみよう。それらは監査機能を持つものか政策提案機能を持つものかに分けられるだろう。
 一般質問は、執行機関のあり方をチェックする監査質問、政策課題やとるべき方策、改善点を提起する政策提案質問に大別できる。
 実際には、ひとつの質問の中に両方の機能が入っていることが多いが、監査機能を持つ部分、政策提案機能を持つ部分それぞれの作成に当たって留意したいポイントは異なる。2つの質問類型の違いを示してみよう。

(1)監査質問のポイント
 監査質問や質問の監査機能部分であれば、執行機関が「きちんと」執行しているかどうかを問うことになる。では「きちんと」しているとはどういうことなのか。行政運営や事業執行の背景にある、条例等を含む法制度に対する遵法性、執行における判断の適正性が確保されていることである。監査質問には、これらのどこが「きちんと」していないかを明確に指摘することが求められる。それには、執行機関の内部ルールである要綱が、法や条例の趣旨、さらに目指すべき政策目標から見てその規定と運用が適切であるかどうか、国法や国制度をどう解釈しているかといった執行機関の認識や判断も含まれる。
 したがって監査質問のためには、以下が必要になる。
制度についての十分な知識
我がまちや他自治体での運用状況の確認
執行のどこに問題があるのかの特定

監査質問のポイント
背景にある条例等を含む法制度を遵守しているか
執行における判断は適正か
要綱の規定と運用は適切か、国法や制度をどう解釈しているか

(2)政策提案質問のポイント
 政策提案は、まず「その課題は(他課題に優先して)自治体として取り組むべき課題なのか」、さらに「その手段はその政策課題の解決策として有効か」いわば「提案の正統性」に納得が得られなければ受け入れられない。資源に制約がある以上、課題として認められることも簡単ではない。
 提案が正統なものとして受け止められても、実現するとは限らない。そのため提案には「実現可能性」が求められる。我がまちの現状に合った具体的な方法、他市の事例、予算の目途や担当が予想される部局の感触なども重要な情報になってくるだろう。
 また、政策提案質問の主張が通るということは、執行機関の執行のあり方を変えることであり、それもまた壁となりうる。市(町村都道府県)政にとって新しい政策提案が一度の質問で実現するということはめったにないといってよい。提案を実現しようとすれば、継続して質問を重ねて目標にたどりつけるような戦略の構想が必要となってくる。その第一歩は、その状況が問題であるとの執行部側の認知、共感を得ることであろう。その認識を手がかりに、次いで「他にも課題はある」、「いい方法がない」、「資源はない」、という障壁を乗り越えていく粘り強さが求められる。
 したがって、政策提案質問には、以下が必要となる。
課題をめぐる情報収集
提起する問題の整理、政策目標の明確化
他市事例、具体的な改善策の提示、予算などへの配慮、行政の政策対応の現状に対する評価
提案実現のための戦略の構想と、「今回」の目標

政策提案質問のポイント
課題が課題であること、提案が有効であることを示す
新しい政策提案が一度の質問で実現することはめったにない。戦略を持って継続的に質問を
その状況が問題であるとの執行部側の認知、共感を得るのが第一歩

 他市の事例は規模や事情など類似点のある自治体や周辺自治体のそれなど、説得力の高いものをうまく使いたい。ただそれだけでは、横に習えしかできなくなる。先駆例が少ないもの、例のない政策の実現は確かに難しいが、それはやはり事例以外の部分、調査分析や担当が想定される部署との意見交換などで支えたい。
 監査質問にしても、政策提案質問にしても、その説得性を支えるものは情報収集であり調査分析である。それは後述のように日常の議員活動とも関わってくる。

質問をまとめる:論点の絞り込み、
目標の確認、分かりやすく伝える工夫

 監査質問、政策提案質問で留意すべき点が確認でき、それに関わる調査ができれば、一般質問の草案を練ることになろう。
 その際、持ち時間を想定した論点の絞り込みと、目標の確認は重要である。一般質問では論点を盛り込みすぎて「時間がないので次の質問に行きます」と切り上げてしまうこともよく見る。往復〇〇分という自治体では相手の答弁によって読めないところがあるとはいえ、説得力を考えても避けたい事態である。論点に優先順位をつけ、必要最小限の論立てを考えておくと、省略や次回送りなどの対応がしやすくなるだろう。また、答弁で最低限「これだけは確認したい」、「引き出したい」と目標を明確にしておけば、再質問を繰り返す中で話題がすり替わってしまうことを一定防ぐことができる。そうした目標を置けば、「この質問で本当にその目標が達成できるか」も冷静に見ることになるのではないか。
 分かりやすく伝える工夫は、説得性を高めるという意味でも、時間を有効に使うという意味でも、また傍聴や議事録で市民に訴えるという意味でも重要である。聞いて分かりやすい、平易な言葉遣いで、結論や要点をまずまとめてから詳述するなど挙げられよう。フリップやプレゼンテーションなどの導入も今後進んでいくことが想定される

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