2014.01.20 議員活動
質問力を上げよう 第1回 残念な質問、もったいない質問をなくそう
質問する側だけが問題ではない
質問力研修などで質疑を冷静に読み解くと、一般質問が「うまくいかなかった」要因が、執行機関側にあることもある。多くの場合は質問に対峙した応答をしているが、意思を持って指摘から逃げたりごまかしたりしていると分かる答弁も見かける。故意ではなくても、一問一答などで問いを明確に把握ないし斟酌できていなかったり、抽象的になったりした答弁でやりとり自体が混乱していく一因となることがある。「答弁力」にも課題がないわけではない。だが、そうした逃げや揺れに対してどう対応するかもまた質問力の一部である。
良い一般質問とは何か
このように確認するだけで、残念な展開やもったいない展開を避けるポイントが見える。まず、何のために、何を目的として、その一般質問を行うのかを明確にするだけで、回避できる部分がある。次には、目的に沿って論点を絞り、それに優先順位を付け、「ここには到達しよう」という目標を固め、それに応じて情報収集し、質問の流れを組み立てるのである。
では、そもそも「良い一般質問」とは何だろうか。要求や指摘、提案が受け入れられることだろうか。
当然そこには、監査機能や政策提案機能をよく果たすこと、という基準が入る。ただ、どの質問がより「よく」機能を発揮するかを事前に比較することは難しい。一般質問を作成するプロセスから考えると、自分が持つ一般質問のタネのどれを選択するかというときに、最も単純で本質に関わる基準は「その質問をすることで、まち全体が良くなるかどうか」といえる。議員にとっては目標を獲得していても、まちとして見たときに「良い一般質問」ではないこともあるのである。一方、前述したように、個別要求でもその結果がまち全体のプラスとなるのであれば、一般質問にふさわしいものといえるだろう。また、「今」何を質問するべきかという時機の要素も選択の重要なポイントである。
何を問題に一般質問を行うかを決めたら、それが監査質問なのか政策提案質問なのかを確認して、必要な情報を集め質問を組み立てる。ひとつの質問の中に監査質問の部分と政策提案質問の部分とが混在することももちろんあるが、そうした2つの機能を意識して質問を整理するだけでも、一般質問の訴求力は変わってくる。
次回第2回は、そうした監査機能と政策提案機能から見た一般質問作成のポイントを検討し、第3回は一般質問の限界を捉えつつ、質問力を支える仕組みや議会事務局体制などについて語ることとしたい。
⑴ 龍谷大学地域公共人材・地域政策リサーチセンター(LORC)の共同研究により開発、実施。現在は龍谷大学エクステンションセンター(REC)で実施。2011年から4回開催したほか、2012年8月には大津市議会議員研修、2013年3月には滋賀県市議会議長会研修として開催。次回2014年2月8日㈯~9日㈰に開催予定。(問合せはREC事務部(京都)電話075-645-2098)
⑵ 本稿の基盤をまとめたものとして、土山希美枝編著『「質問力」からはじめる自治体議会改革』公人の友社、2012年がある。
⑶ 2007年9月18日第8地方分権改革推進委員会ヒアリングでの発言(第18回地方分権改革推進委員会議事録 http://www.cao.go.jp/bunkenkaikaku/iinkai/kaisai/dai18/18gijiroku.pdf)。