立命館大学産業社会学部 桜井啓太
1 はじめに──なぜ「データ」なのか
生活保護制度は、日本国憲法25条に基づく生存権保障の中核的な制度である。生活保護法1条は、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行うことを定めている。制度の枠組みや保護基準の設定は国の責任であり、財源の4分の3は国庫が負担する。その意味で、生活保護は国家責任による制度である。
しかし、制度の実際の運用は、全国約1,240か所の福祉事務所に委ねられている。生活保護は法定受託事務であり、本来は全国一律の運用が求められる。ところが実態としては、福祉事務所ごとに運用に大きな差が生じている。ある自治体では適切に保護が開始される一方で、別の自治体では申請そのものが抑制されることもある。同じ法律に基づく同じ制度でありながら、住んでいる地域によって受けられる保護の内容が異なるという現実がある。
本稿では、筆者が参加する「生活保護情報グループ」の活動を通じて収集してきたデータに基づき、生活保護行政の自治体間格差の実態を紹介する。データによって運用格差を可視化することの意義と、地方議会がその民主的統制において果たしうる役割について述べたい。
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