悲しきオオカミ少年
全国の自治体で令和8年度当初予算が議会に上程され、審議が始まりました。厳しい財政状況が続く中、全国の自治体財政担当の皆さん、本当にお疲れさまでした。
私も過去に長く財政課に在籍しましたが、苦労して予算を組んで議会に予算案を送り込んだ後で、どこからともなく聞こえる心ない声に胸を痛めていました。
「お金がないのに予算が組めるのは、財政課がオオカミ少年だから」という誤解です。
私も財政課に在籍しながら毎年不思議でなりませんでした。
予算編成前に次年度の収入支出の見込みを立てる段階では途方もない金額の収入不足が見込まれているのに、なぜ長い秋冬の予算編成作業を経て予算案を固めるときには収入と支出がぴったり同額になっているのか。
なぜ予算が組めたのか。どこからかお金が湧いて出てきたのでしょうか。
毎年予算が組めるのは
実はこれ、魔法でもまやかしでもありません。
自治体の予算は通常収入と支出が同額でなければならず、収入の範囲内でしか支出予算を組むことはできません。
そのために支出を収入の範囲に収まるようギリギリまで削り、一方で収入見込みを極限まで精査するだけでなく、執行の前倒しや先送りによって当初予算での収支から外したり、基金や市債、国や県からの補助金等を充てられる施策事業を探して可能な限り充当したり、ありとあらゆる手を使って収支の帳尻を合わせた結果、何とか組めた予算案を議会に上程しているわけで、結果がそうなっているだけです。
そこには何かいつも使える万能の奥の手があるわけではなく、毎年予算が組めるのは、その時々の財政課職員による血のにじむような努力の結果なのです。
それなのに、オオカミ少年扱いされるばかりでなく、その帳尻合わせがどれほど厳しいものかが現場や首長、議会、市民に伝わらず、あたかも財政課が魔法の杖(つえ)でも持っているかのような期待感、安心感を与えてしまい、財政課が抱いている危機的な状況について十分に理解が広がらないという結果を招いてしまいます。
お金がないといっているのに毎年予算が組めるのなら、財政健全化に取り組む必要などないのではないか。毎年度の予算で少しぐらいワガママをいっても、最後は財政課が帳尻を合わせてくれるのではないか。
財政課が毎年の帳尻合わせを頑張れば頑張るほど、お金がないと危機感をあおればあおるほど、そんな緩みさえ生じてしまう、悲しいジレンマを抱えているのです。
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