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2019.09.25 議会改革

【セミナーレポート】チーム議会が地域をより良くする~全国議会サミット2019

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 2019年8月1日、2日、東京ビックサイトにおいて「全国地方議会サミット2019」が開催されました。主催はローカル・マニフェスト推進連盟、マニフェスト大賞実行委員会。全国から自治体議員や議会事務局職員など、約600名が集まりました。
 本イベントのテーマは「チーム議会が地域をより良くする」。サミット開催の両日とも、自治体議員や事務局職員、首長や住民など様々な立場から「チーム議会」について検討するパネルディスカッション・事例報告が行われました。1日目の様子を中心にご紹介します。 IMG_20190801_141517_BURST001_COVER

従来型の議員単体での活動のブラッシュアップの限界

 冒頭の基調講演において、「なぜ今チーム議会が必要なのか??」との問いかけが北川正恭早稲田大学名誉教授よりありましたが、従来型の議員単体での活動のブラッシュアップの限界から、議会総体として、議員、事務局職員、そして住民が一体となって、「議会基本条例」等に掲げた議会像の実現を目指す、「チーム議会」の取組みが、いま注目されています。
 サミットではまず、「NHK地方議員2万人アンケートのホンネ」として、江藤俊昭氏(山梨学院大学教授)、杉田淳氏(NHK報道局選挙プロジェクト副部長)、久保隆氏(NHK報道局選挙プロジェクト記者)より、今年の統一地方選に照準を合わせて実施された、NHKによる地方議員議員アンケート(以下、「アンケート」)に関しての報告がありました。
 アンケートは2019年1月~3月に全国すべて1,788の議会に対して実施、全126問で構成されています。対象者は3万2,450人で、そのうちの59.6%である1万9,325人から回答があったそうです。
江藤氏は「全議員が対象というのは初めての試みではないか。主権者教育の素材としても非常に価値がある」と語りました。杉田氏は「どれくらいの反応があるのか正直不安要素もあったが、結果として6割近くの返信があった。一つひとつの質問に丁寧に答えて頂いた」と手ごたえを語りました。
 NHKではアンケート結果を集計・分析し、ウェブサイトで都道府県ごとなど複数の切り口から閲覧できるように整備しているほか、AI的分析を行い、議員像の類型化に試みています。
江藤氏からは「規模が異なる都道府県議員と市町村議員を同じレベルにとらえることについては、課題がある。回答を扱う際に精査した方がよかった」という指摘があったものの、史上初の大規模調査から浮かび上がってきた実態や議員像は、今後議会改革を相対的にとらえる際の材料として非常に価値があるものといえます。

チーム議会と事務局職員

 続いて「チーム議会に職員だからこそできること」と題したパネルディスカッションがありました。パネラーとして、清水克士氏(大津市議会局次長)、小原昌江氏(北上市議会事務局議事課長)、岩崎弘宜氏(取手市議会事務局次長)、小林宏子氏(羽村市議会事務局長)が登壇しました。
“チーム議会”と一口にいっても、各議会によって、単に「会派の垣根を超えて、フラットな関係で議員同士が議論できること」という段階もあれば、「議員だけでなく、事務局職員も含めた『チーム』として改革に取り組むこと」という段階もあります。後者の段階の議会が出てきたのは比較的最近のことです。
 登壇者の皆さんからは、事務局職員がチームの一員になるために、として様々な意見が出ました。「職員は『議員のため』でなく『市民のため』に働いていることを理解してほしい」、「一般質問の通告をした後に調査依頼をするケースがあり、依頼先の事情も考えてもう少し早めに依頼をしてほしい」「せっかく視察に行くのであれば、視察報告書を自ら作ってほしい」などと、切実なものもありました。
 また、事務局職員もチームの一員であることのメリットとしては「積み上げてきた改革の成果が後退しないような工夫として議会基本条例があるが、事務局職員は4年に1度の選挙の洗礼がないこともあり、比較的長期的な視座で議会に関わることができる。」といった指摘が出ました。
 会場内との質疑応答での「職員が積極的に提案をできる根拠は何か」という質問に対しては、「職員が提案をする場合には、直接ではなく、議長を必ず通すなど形式を踏んでいる」「法的根拠というよりも、職員は誰のために仕事をしているということを考えたい。執行部にいると、必ずしも首長のトップダウンのみで政策形成が行われるわけではなく、職員も提案をしている。議会も同じではないだろうか」などといった回答がありました。

チームとは何か

 続いて片山善博氏(早稲田大学教授)から、「チーム議会の視点から見る議会・議員の役割」としてお話がありました。片山氏は、「今の地方議会の在り方を変えなければならないと思ってきた。今回のサミットのテーマである『チーム議会』というコンセプトは非常に良い。」と冒頭語りました。そして、チームについて様々なたとえを挙げての解説がありました。
 「チームとは何だろうか。運動会、スポーツ、野球…何らかの形でチームに参加したことのある方も多いだろう。例えば、取締役会は、企業が持続的に収益をあげられるように、心を一つにして取り組む、議論するチームといえる。
 裁判所もチームだ。一つひとつの事件を複数人でチームを作って事件を処理していく。アメリカで自治体議会を見に行くと、裁判所と雰囲気やレイアウトがよく似ていることに気づく。議会は物事を決める機関であるから似ているのも不思議なことではない。条例であれば市民の権利を制限したり義務を課したりすることになる。議会は、その地域にとって非常に大事な内容のことを一つひとつ決めていく機関であるということを理解してほしい。」
 「裁判官が会派を組んで仲たがいをしているだろうか。先入観にとらわれないで、一つひとつの事件を見極めて、議論して取り扱う。是々非々で決めていく。これが私のチーム議会のイメージである。だから、チーム議会に何よりも必要なのは、「与党野党」ではなく、みんなで証拠固めをして、決めていくことだ。ぜひ一つひとつの議案をちゃんとチェックすることをやってほしい。決めること、これが一番大事です」と、会場を激励しました。

 現在、地方議会が直面している議会改革の「第2ステージ」では、「形式要件」から「実質要件」を満たした改革を進める必要があります。地方議会のもつ議決権限や政策提案の権限は非常に大きなものです。それを存分に使いこなすことが改革では求められていますが、議会が持つ資源は、首長が持つ資源に比してとても小さいものです。それを補って余りあるものにしていくためには、議員、事務局職員、住民や各種団体が一体となって活動する「チーム議会」を実現していくほかないように思いました。

『議員NAVI』編集部

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