2019年3月10日（日）、東京大学武田先端知ホールにて「チャレンジ！オープンガバナンス2018（以下、「ＣＯＧ2018」）」の最終公開審査が開催されました。3年目となる今年、最終公開審査に進んだ全13のチームによるプレゼン及び審査員による審査などが行なわれました。
“オープンガバナンス”は、ＩＣＴ時代を背景とし、市民と行政が協働で地域の課題解決にあたる市民参加型社会における『新しい公共サービスの枠組み』のことをいいます。オープンガバナンスにおいて求められている自治体の役割は、オープンデータに取り組んだり、市民ニーズを施策に反映させる努力をしたりする、プラットフォームとしての役割です。
この「ＣＯＧ2018」では以下のステップで参加団体の取り組みが進んできました。今回の最終公開審査は下記ステップ3にあたります。
ステップ1：地域課題を抱える自治体の募集を2018年夏に実施、37自治体の登録。
ステップ2：その地域課題を解決する市民/学生によるアイデアの募集を2018年秋に実施、59件の応募（内訳：市民17件、学生22件、混成20件）。
ステップ3：審査委員会による一次審査を経て、最終公開審査を開催。
当日、参加者によるプレゼンは朝9時過ぎより始まり、午前・午後と、会場は参加者の熱気のうずに包まれました。各自治体が掲げた課題に対する市民や学生からの回答が様々な形で提案されました。まちへの愛着形成のための道歩きのためのアプリ開発、潜在保育士開拓のためのマッチングサイトの提案、まちについて語るための拠点の開設、地理的条件により買い物難民が発生している地域での出張販売の模索、小中学校生の農業経営体験、観光客の増加のための仕組みの提案、市民による財政白書作成のための支援ツール、豪雨災害後の避難所生活等をサポートするために作成されたアプリなど、実に幅広いテーマでの提案がなされ、いずれも目を見張るものでした。最終公開審査に進んだ各団体のプレゼン資料はＣＯＧ2018公式サイトにてご覧頂けます。
審査員による最終公開審査の結果、栄えあるオープンガバナンス総合賞をとったのは、草津市の「めざめ保育士応援隊」でした（発表資料）。待機児童問題が全国的な問題となって久しいですが、保育所整備が進む一方で保育士不足が新たな課題となっています。保育士資格を持ちながらも保育士として就労していない「潜在保育士」が相当数いると言われており、今回の提案は潜在保育士のニーズ調査を実施し、実際にどういったことがクリアできれば就労が進むのかといったことをデータを用いて分析、保育士と保育園のマッチングサイトの設立をもとめるものでした。
ほか、アイデア賞は、「高山土曜ストア」。これは高齢化の進む団地の住民が買い物難民化しつつある課題を、住民×企業×自治体の連携で乗り越えるべく、団地の集会所で毎週出張販売を実現させたものです（発表資料）。
つぎに、連携体制賞・ハーバード大特別賞は、「まびケア」運営チーム。「まびケア」とは、平成30年7月豪雨で被害を受けた岡山県倉敷市真備町の被災者に生活支援情報を届けるアプリケーションです。市民それぞれが、避難所にいなくても自助的に情報を得て、自ら災害対応行動がとれ、早期の帰宅、再建が期待できる被災者への生活支援情報提供を目指し、運用がなされました。保健医療（病院、薬局など）施設や飲食店、コンビニの 開業状況、トイレ、お風呂などの緊急支援サービスなど、「くらしと健康」に必要な情報を収集、タイムリーにデータ化し、提供した実績が評価され、今回の受賞となりました（発表資料）。
LINE学生賞は、地域の商店街の活性化に対して、地域づくりや住民のまなびの場としての活用を提案した仁愛大学早川ゼミ チーム「3PEACE」が選ばれました（発表資料）。
ＩＣＴ化がますます進展する現代において、データや情報技術を駆使して地域の課題を解決するということが、今後更に増えていくと思われます。住民と協働し課題に向き合うためにも、自治体には情報開示（オープンデータ）や住民からの提案を柔軟に受け入れ施策に取り入れることが求められているのです。
〔参考〕
◆チャレンジ！オープンガバナンス2018公式サイト
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/padit/cog2018/
◆society5.0時代の地方（総務省）
http://www.soumu.go.jp/main_content/000596918.pdf
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