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2018.01.25 議会運営

第57回 議長等による委員派遣の同行

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

議長等による委員派遣の同行

Q議会運営委員会が、所管事務調査の一環として閉会中に先進地に視察調査に行く旨を決定した。そこで所属委員全員を委員派遣により手続することとしたが、議会運営委員会では正副議長が先例によりすべての議会運営委員会に出席していることから、今回の委員派遣にも同行するべきとの考えが示された。この場合、正副議長は議会運営委員会の委員派遣の手続を経れば同行することが可能か。

A議会運営委員会は地方自治法(以下「法」という)109条3項に規定された①議会の運営に関する事項、②議会の会議規則、委員会に関する条例等に関する事項、③議長の諮問に関する事項に関し、標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)105条2項に基づき、その所管に属する事務について調査しようとするとき、その事項、目的、方法及び期間等をあらかじめ議長に通知すれば所管事務調査を行うことができる。
 所管事務調査とは、常任委員会及び議会運営委員会が所管する事務に対して有する固有の調査権限で、本会議からの当該委員会へ調査権限委託の議決を有することなく、委員会自らが能動的・自主的に行いうる調査権のことをいい、特別委員会には付与されていない。

【法109条】
③ 議会運営委員会は、次に掲げる事項に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。
 1 議会の運営に関する事項
 2 議会の会議規則、委員会に関する条例等に関する事項
 3 議長の諮問に関する事項

【市会議規則105条】
① 常任委員会は、その所管に属する事務について調査しようとするときは、その事項、目的、方法及び期間等をあらかじめ議長に通知しなければならない。
② 議会運営委員会が法第109条第3項に規定する調査をしようとするときは、前項の規定を準用する。

 議会運営委員会が所管事務調査の一環として先進地視察調査を行うことは想定されており、その際には市会議規則106条による委員派遣の手続により行うこととなる。
 委員派遣とは、委員会が審査又は調査のために委員を現地に派遣し、現地の視察・調査を行うことをいう。委員派遣については、法上特に根拠規定は設けられていないが、行政実例昭和26.10.10のとおり、委員会に実地調査が認められていることから、委員派遣も認められると解される。

○常任委員会の実地調査(行政実例昭和26.10.10)
問 常任委員会は、調査するに当り、書面による調査の外、実地について調査することができるか。なお、調査権の範囲。
答 前段、書面検査及び実地監査にわたらない限り、当該市町村の事務に関する調査については、お見込のとおり。
  後段、当該市町村の事務に関して付託された事件に関してのみならず、広くその所管事務に関して、調査する権限を有する。なお、前段により承知されたい。

 本問では、議会運営委員会は閉会中に委員派遣を行うこととしていることから、特に付託案件がない場合は法109条8項により閉会中に所管事務調査事項のうち引き続き継続調査(審査)とする特定の調査事件を本会議において可決することで、その閉会中の継続調査(審査)の一環として委員派遣を行う必要がある。そして継続調査(審査)は、一般的には市会議規則111条により委員会で継続調査(審査)をする旨の決定がなされた後、当該委員長が議長に継続審査申出書を提出し、本会議において可決されて行うことができる。なお委員会以外の継続調査(審査)の議決方法としては本会議において継続調査(審査)を求める動議を提出し可決する方法もある。

【法109条】
⑧ 委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる。

【市会議規則111条】
 委員会は、閉会中もなお審査又は調査を継続する必要があると認めるときは、その理由を附け、委員長から議長に申し出なければならない。

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廣瀬和彦(廣瀬行政研究所所長)

この記事の著者

廣瀬和彦(廣瀬行政研究所所長)

(株)廣瀬行政研究所代表取締役。 明治大学政治経済学部講師・明治大学公共政策大学院講師。 慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程卒。 全国市議会議長会で法制・議事運営等の職務に20年以上にわたり従事。 現在、(株)廣瀬行政研究所代表取締役、明治大学政治経済学部及び同公共政策大学院の講師をつとめる。 【雑誌連載】「議会運営Q&A」(『議員NAVI』第一法規)、「判例から読み解く政務活動費の実務」(『議員NAVI』第一法規)           【著書】『100条調査ハンドブック』(ぎょうせい・H20年)、『政務調査費ハンドブック』(ぎょうせい・H21年)、『Q&A地方議会議員ハンドブック』(ぎょうせい・H24年)、『地方議員ハンドブック』(ぎょうせい・H25年) 【共著】『自治体議会の課題と争点』(芦書房・H24年・中邨章監修、牛山久仁彦共著) 【論文】「二元代表制における地方議会議員定数・報酬の分析」(慶應義塾大学大学院修士論文)、「逐条市議会会議規則」(ぎょうせい「地方財務」)、「事業別自治体財政需要」(ぎょうせい「地方財務」) 【所属学会】日本政治学会・日本行政学会・日本地方自治学会・日本公共選択学会(幹事)・日本公共政策学会 【研究分野】地方自治論・議会運営論・政治学(計量分析) 【その他】日本経営協会講師

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