2017.10.10 政策研究
【フォーカス!】自民党、公明、希望の順~知事会が各党公約を評価
国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。
全国知事会は10月8日、衆院選における自民、公明など与野党の公約を評価した結果を公表した。知事会が要望した地方関連の施策10項目がどれだけ反映されたかを100点満点で採点する方式で、トップは自民党の73.3点、2位が公明党72.1点、3位が希望の党64.5点の順となった。
マニフェスト選挙
この知事会が各党公約を評価するのは2009年の衆院選で本格化したと言える。陳情団体から「行動し、日本を変える知事会」に脱皮するための手段として政治に圧力をかけるため、公約の評価に取り組んだのだ。
当時の橋下徹大阪府知事、東国原英夫宮崎県知事ら人気の高かった知事らの動きが、自公政権から民主党政権への交代に影響したとも言える。さらに知事会は採点前には、全国知事会と3党の公開討論会を開くなど、政党側に「地方分権を進めなければならない」という焦りにも似た雰囲気づくりにも成功した。
ちなみにこの時の採点結果は自民党が60.6点、公明党が66.2点、民主党は地方財源の確保策が懸念されて58.3点だった。地方分権政策での民主党の評価は決して高くなかったが、民主党が政権を奪取した。「知事会の点数=国民の評価」とは、ならないようだ。
公約を具体的に示すマニフェスト(政権公約)が広まるつれ、どう比較するかが課題となっており、2009年には知事会のほか「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)などが評価している。
動向に注視
10月8日に発表された評価内容を詳しく示しておこう。知事会が各党に要望した「共生社会の実現に向けた10の提言」が、どの程度反映されたかを知事会の総合戦略・政権評価特別委員会(委員長・飯泉嘉門徳島県知事)ら19道府県知事が採点している。
10の提言では、①国民主権に基づく地方自治、地方税財源の充実・強化、②国と地方が共に輝く地方創生の実現、③将来にわたって持続可能な社会保障制度の確立、④人口減少局面の打開に向けた地域の未来を支える人づくり―などが列記されている。
これらは地方創生や働き方改革など安倍政権の看板政策の多いことから、自民党が高くなるのは当然と言える。残りの党では立憲民主60.3点、日本維新の会60.0点、社民党48.8点、共産党33.2点、日本のこころ26.5点だった。
自民党では、文化庁や消費者庁の一部地方移転、参院選挙区の合区解消に向けた選挙制度改革を盛り込んだ点が評価された。公明党では、地方が自由に使える一般財源の総額の確保や防災面での評価が高かった。
全国知事会の山田啓二会長(京都府知事)は「公約に掲げられた事項が確実に実施されるよう、その動向について注視していく」と述べている。