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2025.03.25 政策研究

第60回 組織性(その6):目的なき組織

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之

はじめに

 自治体は組織であるが、前回(第59回)において触れたように、一般の組織の資源循環とは異なる側面がある。第1に、強制権を持つ統治団体でもあるから、強制的に資源調達を課すことができる。その典型は租税である。一般の組織であれば、資金の貢献をしてもらうためには、組織としては、何らかの誘因(財・サービスなど)を提供しなければならない。しかし、自治体を含む統治団体の場合には、誘因を提供しないで、資金を強制徴収することも可能である。
 第2に、自治体には必ずしも明確な目的が存在しない。「住民の福祉の増進」、「公共の利益(公益)」、「生命・身体・財産の保護」などという曖昧な目的はあるが、ほとんど無内容なぐらい漠然としたものである。特に、現代日本の自治体は一般目的・多目的(general purpose)である。総合性という特徴も、この一般目的を指すことがある(1)。これが、特定目的・単目的(specific purpose)の自治体であれば、まだ政策目的は限定される。例えば、公立学校教育(学校区)、灌漑(かんがい)(水利組合・土地改良区)などであれば、当該目的に限定される。しかし、一般目的・多目的であれば、具体的に、どの政策目的に絞るのかさえ不明確である。さらに、学校教育や灌漑など政策目的が特定されていたとしても、その解釈や政策衡量は多義的であるし、当該目的に限定したとしても事務事業は多数ある。

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