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2016.12.12 議会改革

第29回 議会の説明責任とはどのようなものか

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議会事務局実務研究会 吉田利宏

■お悩み(間接民主主義の申し子さん 70代市議会議員)
 当選回数を重ねてきた70代の市議会議員です。私も議会の地位向上のために努力を惜しまないつもりですが、近頃、口にされる「説明責任」という言葉には違和感を覚えています。地方議会は国会同様、間接民主主義を採用しています。いわば、私たちは住民の代表として信託を受けた存在なのです。個別の案件まで住民に説明したり、意見を聴いたりする必要はないと感じています。住民の代表であることと議会の説明責任はどのような関係にあるのでしょうか。

回答案
A 法的に議員が住民の代表であることは間違いないが、様々な事情から議員は住民の属性を代表できていないし、責任を負える存在でもない。このズレを埋めるのが「説明責任」であり、説明責任は代表制の生命線である。
B 説明責任は議会における広報活動の一種であり、平たくいえば議会の住民サービスのひとつと捉えることができる。議会をよりよく理解してもらうことは議会への信頼を増すことにもつながり、必要なことである。
C 選挙などを意識すると住民の意見が気になるのは理解できるが、自らの良心のみに従って判断するのが信託を受けた議員というものである。

お悩みへのアプローチ

 つい最近までガラケー派でした。スマートフォンを使いこなせるかどうか不安だったのです。案の定、スマートフォンに乗り換えた今でも、通話機能以外は使いません(使えません)。「時代が私に追い付いていない」とあるアーティストがいっていましたが、私の場合、明らかに「時代に私が追い付いていない」のです。
 さて、そんな私から見ても「時代に追い付いていない議員」にお会いすることがあります。「私たちは住民の代表として選ばれたのだから、個別の案件について住民に説明したり、意見を聴く必要はない」と強く主張される議員もそうした1人です。こうした議員がその根拠として挙げるのが「間接民主主義」という仕組みです。有権者が一堂に会して議論するのが望ましいのですが、そうはいきません。そこで、選挙で私たちの代表を選び、彼らに議論をしてもらっています。これが間接民主主義であり、代表として選ばれたのが議員です。この仕組みは、国でも同じで、憲法43条1項には「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあります。この「代表する」の意味については3つの考え方があるとされています。ひとつは法的代表であるとする説です。議員は選出した有権者の意思を代表する存在と考えます。2つ目は政治的代表であるとする考え方です。代表というのは自由に委任された存在であり、有権者の意思に縛られる必要はないと考えます。3つ目は社会的代表であるという考え方です。前記2つの考え方の中間的な考え方です。現在は社会的代表説が通説となっていますが、間接民主主義の申し子さんのお考えは政治的代表説に近いものと思われます。

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