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2016.09.26 政策研究

【フォーカス!】築地市場

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国と地方の今。明日の議会に直結する、注目の政策をピックアップして解説します。

筋が悪い約束か 築地市場の移転で小池知事

 小池百合子東京都知事の活躍がメディアで連日取り上げられている。都知事選の最中に視察して「立ち止まって考える」と発言した「築地市場」の移転については、8月末の記者会見で、来年1月以降に延期すると表明した。さらに9月に入ると築地市場のずさんな計画の実態も指摘し、小池知事の延期に一理あると思う人も多いかもしれない。
 11月に予定していた豊洲市場の開場が大幅に遅れることになる。延期に伴うコスト増に加え、東京五輪向けの道路整備が間に合わなければどうするのかなどさまざまな課題が指摘されている。
 都民ファーストを考えた判断とメディアは、はやし立てるがそれだけでもあるまい。政治家の武器は言葉である。視察中に「立ち止まる」と言った限りは、一度は止めざるを得ない。その根拠となることを探していただけだとも言える。
 安全性を再点検して問題がないとなれば、移転反対の人に大いなるがっかり感を与え、民意が離れる恐れがある。といって、移転の延期だけでなく、移転の中止となると、それに伴うコスト、責任が問われることになる。
 むろん、小池知事時代の整備ではないとしても、行政の長は継続性が問われる。都議会で「歴代知事が悪い」と言っても、結局は決断の責任が発生するのである。つまりは、継続しても、中止しても、政治的には大きな苦痛が伴うという、もともと筋の悪い口約束だったかもしれない。
 9月28日から都議会が始まる。築地市場問題だけでは、都議らの質問にさらされ、疲労困憊になる恐れがある。「それでは」と小池知事は、自分の土俵に都議らを誘い込むように、都知事の給与を半減する条例を提出する考えを9月7日に表明した。成立すれば年間給与は約1450万円で、都議の1700万円を下回る。
 都議とすれば、知事給与の削減に賛成すれば、次はわが身となる。といって反対すれば、改革に後ろ向きとみられ、小池知事の後ろにちらつく、政治塾、そして新党構想におびえることになるだろう。これによって、都議らに踏み絵を踏ませるということだ。
 この首長や議員の給与を使って議員を揺さぶるのは、河村たかし名古屋市長や松井一郎大阪府知事もやってきたことだ。
 政治家の言葉については、首相にもなった鳩山由紀夫氏の前例がある。沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設先を巡って、民主党が政権を獲得した場合には「『最低でも県外』の方向で積極的に行動したい」と明言したのは首相になる前だ。2009年に首相した後も結局実現できず、1年で辞任に追い込まれた。
 小池知事も気軽に「立ち止まって」と言ったわけでもあるまい。だが、失敗すれば、結果責任が問われる。都議の支援がほとんど得られない状態での都政の運営である。対応を誤れば、築地市場の移転の問題が知事の力、人気をそぐことになる。

 

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