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2016.08.10 政策研究

【フォーカス!特別編】全国知事会議~隠れテーマは東京一極集中~参院合区解消で決議を採択~「安倍1強」にどう対峙

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 「格差から活躍へ」をスローガンに掲げた全国知事会議が7月28~29日、福岡市のホテルで開かれた。7月10日投開票の参院選で初めて導入された「合区の解消」を求める決議や、沖縄への米軍基地集中の問題を検討する研究会を知事会に設置することを決めるなど「闘う知事会として困難な問題に真っ正面から向き合う姿勢を示した」と山田啓二知事会長(京都府知事)はアピールする。
 「1強状態」が続く安倍晋三政権と対峙(たいじ)する姿勢は示したものの、成果が上げられるかはこれからだ。政権の金看板だった「地方創生」は進まず、東京一極集中が加速している。このため都市と地方の対立が改めて際立っており、知事会議の隠れテーマは「東京一極集中」の問題だった。東京都知事に元防衛相の小池百合子氏が8月2日に就任、新知事の今後の発言も注目されそうだ。

陳情合戦

 7月28日午前10時から始まった知事会議の冒頭、山田会長は「新たな不安の時代に入った。極端な少子化、超高齢社会。海外ではイスラム国(IS)によるテロ、英国の欧州連合(EU)離脱、米国大統領選と世界はどこに行くのか。日本はどうなるのだろうか」と問題提起した。
 その上で「形式的な地方創生や地方分権では日本の構造のゆがみは解消しない。新しい地方自治を切り開きたい。それが日本に対する回答である。『格差から活躍へ』を掲げ、全ての地域がチャレンジできる社会。都市と地方が共存する社会。そこに真の地方創生、地方分権がある」とあいさつした。

知事会議の開会あいさつをする山田啓二会長知事会議の開会あいさつをする山田啓二会長

 その後行われた高市早苗総務相との意見交換では、知事側からさまざまな要望が出されたが、安定政権を反映して予算確保を求める“陳情合戦”の様相だった。
 「国の法人税収が見込みより落ち込んでおり、厳しそうだが2017年度も地方一般財源の確保をお願いしたい。消費税増税を再延期しながらも(増税で実施する予定だった)保育の受け皿50万人分の確保などを行うとしているが、費用については安定的財源を確保してほしい」(石井隆一富山県知事)
 「昨年度全国防災事業が終了し、今年度は緊急防災事業債が終了年度になった。両事業で1兆円近い財源が失われる。ぜひ確保を」(泉田裕彦新潟県知事)
 「国家財政当局から交付税特会の健全化が進む兆しがあることを根拠に、地方にも借金返しの応援をしろというような言動も出ている。交付税特会の総額に憂慮している」(平井伸治鳥取県知事)などだ。
 これに対し高市総務相は「しっかりと必要な財源は確保していくという姿勢で、しっかり(財務省と)戦って参りたい」などと述べた。前向きな姿勢を示すことで地方側からは突っ込む余地もなかった。
 「地方版ハローワークの設置、農地転用許可の権限を地方自治体に渡すといった5月に成立した改正地方分権改革一括法に象徴されるように、安倍政権は自治体側の意向に合わせるのがうまい。国と地方の間に争点をつくろうとしないため、地方側から対立軸を提示しづらい」というのが山田会長の見立てだ。

高市早苗総務相との意見交換の様子高市早苗総務相との意見交換の様子

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