2023.03.10 議会運営
第88回 任期満了直前に提出された請願の取扱い
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
任期満了直前に提出された請願の取扱い
本年4月の統一地方選挙において、A議会でも任期満了に伴う議員選挙を行うこととしている。そこで、任期満了前の3月定例会に提出された請願をどのように取り扱うか、議会運営委員会で協議している。どのような取扱いをすることがよいか。
地方自治法(以下「法」という)124条及び標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)139条1項から4項に規定された請願の形式的要件を満たせば、議長は当該請願を受理する義務が生じる。なお、地方議会においては、参議院規則164条と異なり、行政実例(以下「行実」という)昭和28.9.30のとおり、請願の内容が個人の誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害などの内容が平穏でないことをもって受理を拒否することができず、受理した後に審議において不適切であればその意思を示すこととなる。
【法124条】 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。
【市会議規則139条】
① 請願書には、邦文を用いて、請願の趣旨、提出年月日及び請願者の住所を記載し、請願者が署名又は記名押印をしなければならない。
② 請願者が法人の場合には、邦文を用いて、請願の趣旨、提出年月日、法人の名称及び所在地を記載し、代表者が署名又は記名押印をしなければならない。
③ 前2項の請願を紹介する議員は、請願書の表紙に署名又は記名押印をしなければならない。
④ 請願書の提出は、平穏になされなければならない。
【参議院規則164条】
請願書の用語は平穏なものでなければならない。また、その提出は平穏になされなければならない。