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2015.11.10 議会改革

第23回 政治倫理審査会はひとつでもいいか?

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議会事務局実務研究会 吉田利宏

■お悩み(リンリリンリと夜も寝られずさん 60代)
 市の議会運営委員会の委員長をしております。我が市でも遅まきながら政治倫理条例の制定の動きが出ています。ただ、市長は議会側と折り合いが悪く「議員政治倫理条例は議会側でどうぞ」というスタンスです。理事者側と議会側で政治倫理条例が二本立てになりそうなのですが、この場合、政治倫理審査会は2つ必要なのでしょうか? 理事者側と今後、話を詰めるにしてもこの点の理解を先にしておきたいと思っています。何とぞ、ご教示のほどをお願いいたします。

回答案
A 条例が2本であっても、政治倫理審査会は1つでもいい。しかし、議会側の自律性に配慮した規定上の工夫をするのが望ましい。
B 二元代表制の原理からいって、条例も政治倫理審査会も2つでなければならない。
C 政治倫理条例が2本あるのはおかしい。また、議会には附属機関を置けないのだから、理事者側の附属機関を利用するしか方法はない。

お悩みへのアプローチ

 政治倫理条例制定が持ち上がっている事情がちょっと気になりますが、条例制定はいいことです。「理事者側の冷たい態度」も議会が自ら考えるチャンスとして捉えましょう。
 政治倫理条例では政治倫理審査会が置かれるのが普通です。政治倫理審査会は、提出される資産等報告書の審査や市民からの調査請求を受けての調査を行う組織として位置付けられています。資産等報告書を見抜く専門性と、首長や議員からの中立性(第三者性)と、住民のために仕事をする真の公共性を必要とする審査会です。政治倫理条例については、斎藤文男『新版 政治倫理条例のつくり方』(自治体研究社、2006年)というすばらしい本があります。その本では政治倫理条例は三本の柱と二本の梁(はり)で成り立っているとしています。「三本の柱は①政治倫理基準、②資産公開制度、③問責制度で、二本の梁は④政治倫理審査会、⑤住民の調査請求権です」(同書10頁)。政治倫理審査会は、政治倫理条例の実効性を支える要の制度といえそうです。
 さて、お悩みの内容です。政治倫理条例は「○○市長(等)政治倫理条例」と「○○市議会議員政治倫理条例」の二本立てになるということですね。市長と議員を一緒に合わせた政治倫理条例が多いことは確かですが、二本立てにしても法的には問題はありません。その場合、理事者側の政治倫理審査会は地方自治法138条の4第3項の規定に基づき、いわゆる「附属機関」として置かれることになるはずです。お悩みとしては、議員政治倫理条例に基づく政治倫理審査会をどのように組織するか、理事者側の政治倫理審査会との共同設置は可能かということだろうと思います。

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