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2022.08.25 議会改革

第31回 議長という立場・役割

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慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司

1 議長・副議長等の地位

 自治体議会は、合議体の機関として、自治体の意思の決定を行うが、そのためには、その活動を主宰し、議会を代表する者が必要となる。それが「議長」であることはいうまでもない。
 市制・町村制、府県制の時代においては、市会と府県会では、議長は、議員の中から選挙されることになっていたのに対し(1)、町村会では、町村長が議長となることとされていたが、1946年の第一次地方制度改革で、町村会の議長も議員の中から選挙することとされ(2)、それが地方自治法にも引き継がれることとなった。
 議会の議員と長がそれぞれ直接選挙され、権限の分立を図る二元代表制の下では、議長・副議長が議員の中から選ばれるのはいわば当然のこととされ、議員以外の者が議長・副議長となることは許されないともいわれる。
 議会には、議長及び副議長がそれぞれ1人置かれるほか、特別の場合には、仮議長又は臨時議長が置かれる。
 議長は、議場の秩序・規律を保持し、会議を主宰して議事を整理し、議会の意思決定が議決の形式でなされるよう手続を進め、決定された議会の意思について議会を代表して対外的に表示して折衝し、議会の事務を統理する。議長は、議会のリーダーであり、会議の主宰者・司会者、そして議会の統轄者となる。
 また、副議長は、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときに、議長の職務を行うものとされているが(3)、その地位については、法定代位機関にとどまるものであることに注意が必要である。
 すなわち、執行機関においては、都道府県知事・市町村長と副知事・副市町村長は上下関係にあり、副知事・副市町村長は、知事・市町村長の職務を補佐し、その事故あるとき又は欠けたときにその職務を代理するものとされており、基本的に「補佐機関」であるとともに「代位機関」ともなるものである。これに対し、議会の副議長は、一定の場合に議長の職務を当然に行う「代位機関」とされ、「補佐機関」としての性格は有していない。したがって、議長がその職務を行っている限りは、副議長は、一般の議員と比べて特別の権限や職務をもつものではない。ただし、実際には、副議長は、議長のパートナーとしてその補佐を行っていることが多く、それも副議長の役割ということができるが、それはあくまでも事実上のものにとどまることになる。この点、自治体議会の中には、議会基本条例等で、副議長の役割として、議長の補佐について規定しているものも見受けられる。
 なお、副議長は、議長が職務を行うことができないときに、すべて自己の責任において議長の職務を行うものであり、副議長の行ったことについて、議長に法的な責任が生じることはない。
 このほか、仮議長は、副議長と同様に法定の代位機関であり、議長及び副議長ともに事故あるときに、仮議長が選ばれることになる。
 他方、臨時議長は、議長及び副議長又は仮議長の選挙を行う場合に、議長の職務を行う者がないときに、年長の議員が臨時に議長としてその選挙事務を行うこととされており、これが「臨時議長」と呼ばれているものだ。

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