2022.02.25 政策研究
第9回 常任委員会の効果性を上げて「議会からの政策サイクル」を回す~岐阜県可児市議会の取組み~
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳
《今回のキーワード》
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【SHORT STORY】
議会改革推進会議での古江議員が発した「ここち市議会は、議会基本条例にうたわれている政策提言をする議会になれていないのでは?」という問題提起。それをきっかけに田島議会事務局長から、会津若松市議会の「政策サイクル」を調査するよう指示された事務局職員の江上。最初は、議会の政策提言に懐疑的であったが、オンラインで実際に会津若松市議会の議員から話を聞き、可能性を少し感じていた。
「山田次長、議会が政策提言できるようになるには、常任委員会のあり方が重要な気がするんですが」。山田次長はやる気なさげに、「議会に政策提言なんて無理だって、この前も言ったじゃん」。「いや確か、地方自治法には、常任委員会の権限として、付託された案件の審査権に加えて、所管事務の調査権っていうのがありますよね」と江上は反応的に食い下がる。「所管事務調査? 江上も担当しているから分かると思うけど、うちの常任委員会は、開会中に付託された議案を審査するだけの完全受け身。閉会中にやるのは視察だけだろ」。
山田次長は、普段は面白い人だが、議会改革の話になると、かたくなに冷めた態度になり、相談相手になってくれそうにない。だからといってすぐに局長に頼るのも格好悪い。ネットで調べるかと、「議会からの政策サイクル」とググると、会津若松市議会以外に、岐阜県の可児市議会の名前が出てくる。興味が湧き、可児市議会の「議会基本条例」を調べると次の条文が。「えっ、こんな議会があるんだ……」。
第 11条 常任委員会は、所管事務調査及び政策提案を積極的に実施し、その機能を 十分発揮しなければならない。 2 常任委員会を代表する議員は、本会議において議長の許可を得て所管事務に関す る質問をすることができる。 3 常任委員会は、その審査過程を市民との懇談会等で説明するよう努めなければな らない。 4 常任委員会の改選が行われるときは、所管事務調査及び政策提案の内容を取りま とめ、次の常任委員会へ引き継がなければならない。 |
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