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2015.04.10 議会運営

議会事務局のこぼれ話~初議会と議長選挙~

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 議会はときに予想もしないことが起き、事務局長を泣かせます。選挙後初めての議会となるとなおのことです。詳細は専門書に譲るとして、初議会で起こりがちな議事運営上の問題を考えてみました。

* * *

 

 一般選挙後に初めて開かれる議会のことを「初議会」という。厳密にいえば、選挙の当選人が議員の任期の起算日に至った後に初めて開かれる議会、となる。「初めて開かれる議会」が縮まり、慣用語として定着したようだ。

 初議会は議長・副議長の選挙や常任委員の選任など、専ら議会の構成にかかわる案件が主要な議事となる。議会のいわば〈役員人事〉であり、おのずと最大事は議長の選挙だ。

 初議会が開かれ議長が選ばれるまでの間、議事を進めるべき議長はもちろんのこと副議長もいないので、議会はまだ〈混こん沌とん〉状態にある。そこで地方自治法は「議長の職務を行う者がないときは、年長の議員が臨時に議長の職務を行う」と定めている。

 年長議員とは出席議員のうちの最年長者であり、年齢を基準に置いているから紛れようもない。ところがまれに同年齢の年長議員が2人いて、生年月日も同じということがある。その場合は順位をくじで決めることになる。

 もし年長議員が臨時議長の就任を拒否したらどうするか。「風邪を引き発声が困難で」などと辞退することがあるかもしれない。法意に沿えば、年長議員が臨時議長を務めるものとしたのは、議員という身分に課せられた義務であり拒否はできない。

 臨時議長の下でいよいよ議長の選挙となる。議長選挙の方法は、投票によるか、誰も異議がなければ指名推選で決定してよい。統一地方選挙があった4年前に、議長選挙がどの方法で行われたのかを全国の町村議会について調査したところ、投票によるもの431団体、指名推選が144団体であった。

 議長選挙などのように、地方議会で行われる選挙の当選人は比較多数主義により、有効投票の4分の1以上の得票者のうちで上位の者になる。往々にして同数票の最多得票者が2人現れることがあり、この場合もくじで当選人を決めることになる。前回統一地方選挙の年には、議長も副議長もくじで決まった町が道内であった。

 北海道登別市議会は8年前の改選時に、議長選挙を立候補制でできないか検討した。議長候補者が議場で所信表明演説を行った上で投票する方針がほぼ固まった。選出過程を透明化し、意欲のある議員を議長に選ぶことで議会運営の活性化をねらいとした。

 ところが直前になり立候補制を断念した。議長選挙に準用される公職選挙法には立候補制が明記されていないため、違法性の疑いがあると考えたのが理由だった。だが総務省は、「地方自治法に抵触するか否かは何とも言えない」としながら、「各議会が独自に選出方法を条例や会議規則で定めても問題ない」と見解を述べた。

 2年前に行った全国市議会議長会の調査によれば、議長の選出に立候補制を導入している市は182市あり、市全体の22%に及んでいる。

 議長選挙の基本原則は、議員の全員が選挙権と同時に被選挙権を有するところにある。であれば立候補制をとったとしても、仮に名乗りを上げなかった者に得票があっても無効とはせず、有効とされるならば問題の生ずる余地はない。むしろ選出の過程が議員にとっても住民にとっても透明度が増すことは歓迎すべきでないか。

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