2020.09.25 議員活動
第1回 地方自治体における広報と広聴の現状 ──自治体コミュニケーションが地域運営を強くする
社会情報大学院大学特任教授/関東学院大学法学部准教授 牧瀬 稔
1 はじめに
筆者は社会情報大学院大学(新宿区)において「公共コミュニケーション」という科目を担当しています。本稿(本連載)は、公共コミュニケーションで講義している内容を記すことにより、議員NAVIの読者の皆様に何かしらのヒントを提供し、貢献することを意図しています。
特に、本稿の読者は地方議員を意識しています。そこで、政策立案や行政監視に役立つような視点を盛り込みます。本稿の最後には、議会質問で活用できる質問(例示)を3点ほど記します。なお、次節は社会情報大学院大学の説明、次々節は公共コミュニケーションの概要になりますから、読み飛ばしていただいても構いません。
2 社会情報大学院大学とは何か
字数を費やして申し訳ありませんが、簡単に社会情報大学院大学を紹介させてください。同大学院大学は2017年4月に開学した広報・情報の高等教育機関になります。社会人を対象に広報・情報のプロフェッショナル人材の育成を目的とした専門職大学院大学です。専門職大学院大学の教育理念は理論と実務の懸け橋となることであり、実学志向となっています。
大学院生は2年間の在学期間を通し、広報・コミュニケーションに関連した戦略(政策)の策定に取り組んでいます。ちなみに、筆者のもとでは、地方議員、地域誌ライター、留学生など7人が成果報告書(修士論文相当)の執筆に取り組んでいます。研究テーマは、「議会のコミュニケーション活動」や「認知症における公民連携」、「若年層を呼び込む地方移住」など行政系の内容もあれば、「美容業界における人材戦略」もあります。
全員が社会人か留学生です。筆者自身にとっても、彼ら彼女らと意見交換することで、自身の知見が広がるため、とてもエキサイティングな経験です(「美容業界」なんて専門外なので、とてもワクワクしています)。