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2019.12.25 議会運営

第68回  再議について

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

再議について

QA市議会において議員提出条例案として「日本酒で乾杯条例」案が議長に提出された議会で、出席議員の過半数以上の賛成により可決した。しかし、長は当該団体内には日本酒だけでなくその他のお酒を製造する企業も存在することから、日本酒だけを対象とする乾杯条例を施行するのはいかがなものであるかと考え、当該議会の議決に異議ありとして地方自治法(以下「法」という)176条1項に基づき再議に付した。当該再議を受けて議会で審議の結果、先の議決のとおり諮ったら出席議員の3分の2の多数を得ることができなかった。この場合、当該議員提出条例案はこの後どのように審議することとなるのか。

A一般に再議とは、議会の議決又は選挙について、長が違法又は不当と認めた場合に異議を述べ、再考を求める行為を指し、手続的な面からは再度議会の審議に付することを内容とし、効果としては議会の行為の効力を失わせる拒否権となるものをいい、法176条1項、4項、177条1項1号、2号に規定されている。

【法176条】
①  普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
④  普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。

【法177条】
①  普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
 1  法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費
 2  非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費

 再議制度は、長と議会の関係において調整をとる制度として特に法律上認められたものであり、会議原則である一事不再議の原則の例外をなすものである。
 そして再議は、 ①法176条1項に基づく再議における議会の議決が政策的見地から長の意思に反する場合の一般的拒否権、 ②法176条4項及び177条1項1号及び2号における違法あるいは執行が不可能などの特別の事由がある場合の特別的拒否権の二つに分かれる。
 一般的拒否権としての再議は、再議をするかどうかは長の判断に委ねられるが、特別的拒否権による再議は要件に該当する場合に、長の判断にかかわらず必ず再議を行うことが義務付けられている。
 本問における再議は、一般的拒否権による法176条1項に基づく再議である。
 法176条1項に基づく再議は、普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができるとされており、議会の議決が長の意思に反する場合に議会の再考を求めて行うものであり、長の任意により行うことができる再議である。
 ここで、一般的拒否権としての再議を行うことができる議会の議決は、議員提出議案については可決又は修正可決の場合に限られる。
 議会で議員提出議案を否決した場合は、次に掲げる行政実例昭和26.10.12のとおり議決の一種ではあるが、一般的拒否権としての再議に付することができる議決は当該議決が効力を生ずることについて又はその執行に関して異議若しくは支障のある議決をいうのであって、否決されたものについては効力又は執行上の問題は生じないので、再議の対象にはならないとされている。

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