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2015.03.10 議会改革

議員定数と代表性

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はじめに

 本連載でもたびたび触れているように、世間一般では、「議員定数は多すぎる、議員報酬は高すぎる」という批判が多い。特に、選挙が近づくと、こうした住民からの議会不信に対する「言い訳」として、さらには、次期選挙での立候補予定者の数を見極めながら、あまり痛みのない範囲で、「定数削減」をすることが多い。2015年4月には統一地方選挙があるから、こうした「駆け込み定数削減」をしている自治体も多いであろう。実際には、議員のなり手不足も深刻であり、定数削減でもしないと、無投票や欠員が生じかねない自治体もある。
 しかし、いかなる根拠・基準をもとに、「議員定数が多すぎる」と主張されるかは、非常に薄弱・曖昧である。そのため、過去の経緯や他の類似・近隣自治体との比較や、住民からの非難をかわすための言い訳など様々な曖昧な配慮と妥協で、「適当」に決定しているのも実態である。かつては法定上限定数があったので、法律がひとつの目安ではあったが、しかし、法定上限数が何を根拠に決定されていたのかは不明である。
 本来、議員定数についても、住民を含めて公明正大に議論して、明確な理屈に基づいて決定する必要がある。本連載でも、議員定数に関しては、第18回や第20回でも取り上げたところであるが、改めて、今回は議員定数について、検討してみたい。

議会の代表=「住民再現」という任務

 議員定数を検討するためには、議会がいかなる任務を果たすのかを、住民合意する必要がある。法制上は「議事機関」とされている。「議事」とは、意味不明なところもあるが、「議」することが大事であるように見える。決定するだけならば、むしろ独任制の方が迅速で、責任も明確であるともいえる。したがって、決定の前に議論することが重要であり、ある程度の人数が備わった合議制ということである。
 ただし、「決定」もせずに小田原評定を続ければよいのか、というと、それでは議会の存在価値はない。この点、法制上は「決」を欠いており、最終決定を下さない「諮問機関」でもよさそうな印象を与えている。むしろ、議会の「決する」という任務を制限したいという、立法者の暗黙の意図が含まれているのかもしれない。実際、法制上も議決事件は限定列挙方式である。しかし、「議事」とは「議決事件」の省略であるとすれば、議会の任務には決定も含まれており、世間一般で通用している「議決機関」という名称がふさわしいといえよう。
 要は議会とは、住民に代わって、「議論」して「決定」する機関である。当然、住民から信託されるだけの、あるいは、住民を「代表」するだけの民主的正統性が必要である。住民が自ら議論して決定しなくても、議会で議論して決定すれば、住民が議論して決定したのと同じような過程と結論を得る、という再現性が必要なのである。「代表(re-present)」とは「再び(re)」と「現在(present)」との結合である。議会にいる議員たちとは、多様な住民を映す鏡でなければならない。

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