2019.10.10 議会運営
第4回 条例の修正案
議会事務局実務研究会 野村憲一
修正案は突然に?
長の提出議案に対して議会が修正をかけることは、執行機関に対して議会の意思を示す最も強力な手段の一つです。そこで、今回は条例の修正案の話です。
長が議会に条例案を提出するまでには、立法事実の把握や制度の構築、条文の作成、施行に向けた運用体制等の準備と、相当の時間と労力がかかっています。そんな条例案が修正される事態となれば、これまでのプランに大きな影響を及ぼすこと必至です。「いっそのこと否決してくれた方が……」というのが本音かもしれません。
一方、議会側は、送付された議案に検討を加え、修正すべきとなればその内容を固めて条文に落とし込むというプロセスとなります。その間には後述の提出要件を満たし、かつ、修正案の可決に向けて過半数を確保するための動きも並行して進めていく必要があります。議員にとって、修正案の提出は時間との勝負でもあるのです。
こう見てくると、修正案は執行機関にとって「晴天の霹靂(へきれき)」であり、議会にとっても「非常事態」のように思え
ます。しかし、議会が本気で修正案を可決しようとする場合、それなりの「予兆」はやはりあるのが通常でしょう。議員と執行機関との日々のやりとりの中で、議員から見た条例案の問題点あるいは問題意識の程度、そこに修正がかかるかどうかといった雰囲気や水面下での動きは、双方とも感覚的につかんでいるものです。その雰囲気は議会事務局職員も感じることでしょう。その意味では修正案の提出は、あながち「突然」でもないのです。
修正案の提出場面と提出要件
長が提出した条例案は、委員会での審査を経て本会議で採決されます。したがって、修正案の提出も、委員会と本会議の二つの場面が考えられます。委員会では委員1人でも修正案を提出することができます(県会規68条、市会規101条、町村会規69条)が、本会議で修正案を提出するには、議員定数の12分の1以上の者の発議によるとされています(地方自治法(以下「法」といいます)115条の3)。
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