2025.12.10 New! 予算・決算
第3回 ビルド&スクラップ
全国で続発する財政危機
令和8年度当初予算編成に先立ち、多くの自治体が「財政危機宣言」めいた意見表明を行っています。
これまで長きにわたる景気低迷、人口減少、低成長時代の中で収入は伸び悩み、一方で少子高齢化に伴う社会保障費の増加や老朽化する公共資産の維持管理に支出がかさむことで収支のバランスが崩れ、これまでの剰余金を積み立てた基金を取り崩しながら財政運営を続けてきた結果、基金の枯渇が見えてきたので尻に火がつき、「歳入歳出構造の抜本改革を図る」と言い出しているようです。
皆さんご存じのとおり、自治体は国とは異なり、収支のバランスが崩れたときにその赤字を埋めるための資金調達として地方債の発行=借金を行うことはできません。
収入が減り、支出とのバランスが崩れたのであれば、借金や貯金に頼るのではなく、今やっていることを見直し、収入に見合う支出まで削減するしかないのですが、収入に見合う支出まで削減するために皆さんは何をしますか?
「無駄、重複を省く」、「低廉なものを使う」、「事務の効率化を図る」、「不要不急を控える」などが思い当たると思いますが、これは日々の業務の中で行われる「改善」のレベルであり、抜本的な改革には至りません。
ならば、事業の「効果を検証」し「必要性を吟味」した上で「効果の低いもの、必要性の薄れているものを抜本的に見直す」ということになります。
これは、全国のあらゆる自治体の行財政改革の方針めいた部分に書かれている文言ですが、具体的にどんな作業になるのか、皆さんご存じでしょうか。
やるべきことをやればいい?
例えば、国や自治体が行う政策や事業が成功だったのかというのは、何で評価すればいいのでしょうか。
「やるべきこと(万博の場合、予定されたパビリオン出展による博覧機会の提供)」をすべてやり遂げたら成功というわけではなさそうです。なぜなら、「やるべきことをやる」ということが目的なのではなく、ある目的を達成するために「やるべきこと」を手段として選択し、それを実施しているにすぎないからです。
例えば、待機児童解消のために保育所をつくる、という場合、保育所をつくるのは手段であって、目的は待機児童の解消です。どれだけたくさん保育所をつくったところで、それが利用実態を伴わず、待機児童が解消されなければ、事業として成功したとは評価されません。
では、大阪・関西万博開催の目的は何だったのでしょうか。
その目的は、万博の開催という手段によって達成されたのでしょうか。
