（2）文章の角をとって安全性を高めるためのプロンプト（指示文）
　広報文を書き終えた後に最も重要なのは、その文章が「どう受け取られるか」を事前に確認することです。地方議会の広報では、書き手に悪意がないにもかかわらず、行政批判ととられたり、住民同士の対立を招いてしまったり、SNSで誤解が広がったりすることがあります。特に行政や地域組織との関係性を保ちながら活動する議員にとって、表現の安全性を確保することは欠かせません。
　しかし、自分の書いた文章を自分の視点だけでチェックするのは、とても難しい作業です。そこで役に立つのが、ChatGPTです。AIは文章の印象を第三者の視点で読み取り、住民がどのように感じるか、行政がどう捉えるか、SNSでどのように受け止められる可能性があるかを客観的に指摘してくれます。
　この機能を最大限に生かすためには、ただ文章を渡すだけでなく、文章の前提となる情報をあらかじめ伝えることが大切です。例えば、この文章を読む相手は誰なのか、行政と住民のどちらに近い文脈なのか、強い印象を与えたくない箇所がどこなのかといった情報を添えるだけで、AIはより精度の高いチェックを行えます。
　特に効果が高い伝え方として、次のようなポイントがあります。
　まず、この文章を行政や住民が読むことを明確に伝えること。読み手の属性が変われば、文章の見え方は大きく変わります。高齢者向けか、自治会長か、SNS利用の若い世代かを指定すると、AIはその視点で文章を評価してくれます。
　次に、文章の印象を教えてほしいという依頼を加えること。特定の言い回しが強く聞こえるか、批判的に感じられる部分がないかを判断するためのヒントになります。
　さらに、批判として受け取られる可能性がある部分を探してほしいと明示的に伝えることで、リスクのあるポイントを具体的に指摘してくれるようになります。
　こうした使い方をすることで、ChatGPTは議員にとっての安全確認係として働いてくれます。誤解や摩擦の原因となりそうな表現を事前に取り除くことで、広報の安心感が格段に高まり、文章を届ける相手に無用の不安や誤解を与えずに済むようになります。
　地方議会の広報は、一つの言葉があらぬ方向に伝わることもある繊細な作業です。AIを慎重なチェック役として取り入れることで、文章の安全性を保ちながら、より確実に地域へ情報を届けることができるようになるでしょう。

〈すぐに使える実用プロンプト例〉
【例１】行政に批判的に見えないか確認したい場合
　次の文章を行政の立場で読んだとき、批判的に見える箇所があれば指摘してください。必要であれば、より中立的な表現に書き換えた案も提示してください。
　文章は以下です。
（ここに文章を貼り付ける）

【例２】住民に誤解されやすい表現がないか確認したい場合
　次の文章を住民の視点で確認し、誤解を招きそうな言い回しがあれば教えてください。読み手が混乱しないようにするための改善案も提示してください。
　文章は以下です。
（ここに文章を貼り付ける）

【例３】SNSで炎上する可能性をチェックしたい場合
　次の文章をSNS投稿として読んだとき、炎上につながるリスクがある表現があれば指摘してください。特に批判や誤解を招きやすい部分があれば、代わりの表現も教えてください。
　文章は以下です。
（ここに文章を貼り付ける）

【例４】特定の世代が読みやすいかどうかを確認したい場合
　次の文章を、高齢者が読むことを想定して点検してください。難しい表現や伝わりにくい部分があれば指摘し、分かりやすい言い回しに整えた例を提示してください。
　文章は以下です。
（ここに文章を貼り付ける）