2025.12.10 New! ICT活用・DX
第4回 議員広報とAI
AIを使った広報文のつくり方(プロンプトのコツ)
本節では、先に紹介した三つのポイントを踏まえつつ、実際にどのようにChatGPTへの「プロンプト(=指示文)」を出せば広報が効果的に進むのかを紹介します。
(1)文章作成のスピードを高めるためのプロンプト(指示文)
広報文を素早くつくるために最も大切なのは、文章を書き始める前に、AIへ「何のために書く文章なのか」をはっきり伝えることです。目的が曖昧なまま文章作成を依頼すると、必要以上に長くなったり、話の方向がずれたりします。人間同士のコミュニケーションと同じで、最初に依頼の枠組みを示すことで、AIは意図をくんだ形で文章の土台をつくってくれます。
この段階で重要なのは、完璧な文章を渡す必要は全くないという点です。箇条書きのメモ程度で十分です。AIは提示された情報から構成を整え、文章としての形をつくるのが得意です。ゼロから作文する負担がなくなるだけで、広報作業のスピードと気持ちの軽さが大きく変わります。
AIに依頼する際、特に効果が高いのは次の三つのポイントです。まず、文章の目的を正確に示すことです。議会報告として使うのか、地域の配布資料として使うのか、SNS投稿なのか、それぞれ求められる文章の長さや雰囲気が異なります。最初に目的を示すだけで、AIはその用途に合った構成で文章を整えてくれます。
そして、希望する文字量を伝えること。短くまとめたいのか、一定の説明を含めたいのか、長さの指定があるとAIのアウトプットが安定します。特に議会だよりなど、明確な字数制限がある媒体では大きな助けになります。
最後に、伝えたい内容を箇条書きで整理して渡すこと。文章にする前段階で情報を並べておくだけで、AIはそれを自然な文章の流れに組み立ててくれます。文章の骨格が一瞬ででき上がるため、議員自身は仕上げや内容の精査に時間を割くことができ、広報全体の質が高まります。
こうした基本的な伝え方を押さえることで、AIは広報文づくりの強力な時短ツールとなり、議員が本来の活動に時間を振り向ける余裕が生まれます。
〈すぐに使える実用プロンプト例〉
【例1】
議会報告をつくりたいので、次のメモをもとに300字程度の文章をつくってください。読み手は地域の高齢者が中心です。
箇条書きのメモは以下のとおりです。
・3月定例会が終了
・新しい防災計画の説明
・地域の避難所整備の必要性
・住民参加型の訓練を提案した
【例2】
自治会向けに配る一枚チラシの文章をつくってください。難しい言葉を使わず、丁寧な説明にしてください。
内容のメモは以下のとおりです。
・通学路の安全点検を実施
・新しいガードレール設置
・来月も重点区域で調査
【例3】
議会だより用に、次の内容を200字以内で要点だけまとめてください。
・介護予防事業の見直し
・高齢者の参加率向上が課題
・新しい講座の拡充を提案
(併せて資料をPDFなどで読み込ませると効果的)
