地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2025.11.10 予算・決算

第2回 やるべきことをやるだけでいいのか

LINEで送る

大事なのはロジックモデル

 万博開催が目指すものとして掲げられていたのは、「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」と「日本の国家戦略Society5.0の実現」ですが、これを目的ととらえ、それが達成できたのかどうかを測定することは難しそうです。
 なぜなら、この目的は万博開催のみによって達成されるものではなく、また万博開催によって社会のどの部分にどのような影響を与え、それがどう変容することによって目的達成に影響を及ぼすかというロジックモデル、政策の実現手段についての論理展開が不明確だからです。
 政策というものは、ある社会課題を解決する上で、その手段として採用する方法が、どうして課題解決の手段たりうるのかを論理的に因果関係として説明できることが一番大事です。
 大事なのは、風が吹くことではなく、なぜ風が吹けば桶(おけ)屋がもうかるのか、ということです。
 「風が吹く」、「砂ぼこりが舞う」、「砂ぼこりが目に入って盲人が増える」、「盲人は三味線で生計を立てる」、「三味線の胴を張るネコの皮の需要が増える」、「ネコが減るとネズミが増える」、「ネズミが桶をかじる」、「桶がたくさん売れてもうかる」。
 この因果関係に矛盾や無理がなく、手法と課題解決の間に相当な因果関係があることを多くの人が確からしいと感じることだと思うのです。

結局桶屋はもうかったのか

 大阪・関西万博のホームページには、万博で実現したいこととして「最先端技術など世界の英知が結集し新たなアイデアを創造発信」、「国内外から投資拡大」、「交流活性化によるイノベーション創出」、「地域経済の活性化や中小企業の活性化」、「豊かな日本文化の発信のチャンス」という項目が掲げられていましたが、この実現とは私たちの社会のどの部分がどう変化することだったのでしょうか。また、それができたのかできていないのかを、何を尺度にどうやって測定するつもりだったのでしょうか。
 国際的な大規模イベントとして、開催準備から開催に至る各種の公共事業や国際的な人・モノの流れがもたらす経済波及効果はどの程度見込まれていて、それは実際にどの程度得られたのでしょうか。
 もちろん入場者数や収益が目標を上回ったことは評価に値します。しかし、収益を上げる、すなわちお金を稼ぐということを目的としていたわけではない以上、この数値がいくら大きくても、開催目的を達成したとはいえないはずなのです。
 東京オリンピック・パラリンピックのときもそうでしたが、少なくとも国や自治体が税金を投入して行った部分についてはきちんとKPIを立て、社会の何が変容することを目指していたのか、それは実際にそうなったのかを施策評価として検証する必要があると私は思います。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年1216

山の手線開通(明治42年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る