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2025.11.10 ICT活用・DX

第3回 議会質問の効率化

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(2)ステップ②:質問原稿を構築する
 質問の方向性が定まったら、次は質問原稿を形にしていきましょう。ChatGPTに「防災をテーマに、町の現状を踏まえた5分間の一般質問の構成案をつくってください」と依頼すると、数秒で導入・課題・提案・まとめといった論理的な流れを提示してくれます。
 この段階では完璧な文章を求める必要はありません。AIが出した原稿は、あくまで「設計図」です。そこに自分の言葉や現場のエピソードを加えることで「自分の質問」として仕上げていくイメージで作成を進めていってください。
 例えば「防災」の質問なら、AIが挙げた「避難所環境の改善」という項目に対し、「昨年の豪雨で町内の避難所が満員になり、車中泊を選んだ住民もいた」などの実例を加えるだけで原稿の温度が変わります。AIがつくるのはあくまで骨格であり、血肉を与えるのは現場を知る議員自身の役割であると認識しておきましょう。
 AIで文章を作成する上で意識していただきたいのは、「何度でも書き直しを頼んでみる」ことです。
 ChatGPTは、注文を重ねるほど精度が上がります。「もう少し論理的に」、「語りかけるように」、「中学生にも伝わる表現で」、「3分スピーチ用に短く」など、出力された文章に対する改善要望を伝えるたびに、AIは異なる文章を提示します。この繰り返しでAI自身も学習し、質問の完成度を高めていきます。
 時には、同じ質問文をあえて違うトーンで3パターンつくらせてみるのもよいでしょう。例えば「公務員のように堅く」、「地域リーダーとして情熱的に」、「町民に語りかけるように」と条件を変えると、それぞれに個性のある原稿が仕上がります。この中で自分にとってどのような原稿が最も好ましいかを選択しながら「自分専用のAI」に仕立てていきます。この学習を繰り返していくと、今後の原稿作成で最初から「自分好みの文章」を出力してくれるようになります。

(3)ステップ③:答弁想定と再質問対策
 一般質問は、当然ながら質問だけでは終わりません。むしろ、行政からの答弁と再質問こそが議論を深める好機と捉える議員も多いでしょう。ですが、どのような答弁が返ってくるのかを自分だけで想定するのは容易ではありません。そこで、ChatGPTを活用して想定答弁を作成すると、準備が格段にスムーズになります。
 例えば「この質問に対して、行政側の立場で答弁してください」と入力してみましょう。AIは、行政答弁の定型的な言い回しや論理展開を踏まえた“模擬答弁”を生成します。「国や県の方針を踏まえて検討中」、「予算の範囲内で可能な限り対応」、「現場の実態を把握しながら改善を図る」など、行政特有のトーンが自然に再現されるため、実際のやり取りをイメージしながら準備できます。
 精度を高めたい場合には、自分の議会の過去の議事録を3年分ほど読み込ませて「市長の立場で答弁してください」と入力すると、過去の市長の発言から、質問の内容にどう回答するかを予想した答弁を出力してくれます。
 続けて「その答弁に対して再質問を考えてください」と指示してみましょう。AIは、先ほどの模擬答弁に基づき、次に投げかけるべき質問の候補を複数提示してくれます。その再質問への答弁も出力させ、ChatGPTの中で議論を戦わせることで想定問答の深さが増し、議論の筋道がより明確になります。
 AIを使った想定問答の魅力は、議員の「発言力」と「理解力」を同時に鍛えられることです。
 答弁を想定することで相手の立場を理解し、再質問を考えることで自分の主張を洗練させる。この往復が、議会質問の質を一段上のレベルへ引き上げます。

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