ChatGPTが変える質問準備のプロセス

　それでは、ChatGPTを使って議会質問を準備する流れについて紹介していきましょう。

（1）「議会質問づくり」の常識が変わる
　議会質問の準備といえば、テーマを決めてから調査を始め、資料を読み込み、論点整理・構成作成を経て質問文を書くという流れが一般的です。情報を集めるだけでも時間がかかり、原稿にまとめる頃には期限が迫っている。そんな経験を重ねてきた議員も多いでしょう。
　しかし、ChatGPTを使うと、この流れが根本から変わります。AIは「調査」と「構想」を同時に進めることができるのです。例えば「高齢者の交通支援をテーマに、全国の自治体の取組みを整理して」と入力すれば、数秒で複数の事例を比較整理してくれます。それを読んでいるうちに「自分の町ではどんな課題があるか」、「この事例をどう応用できるか」と、自然に発想が広がっていきます。この「自分の町ではどうか」という部分は議員にしか担えない部分ですので、この部分により多くの時間を費やせるようになります。

（2）「たたき台作成」をAIに任せ、自分は質問内容を磨いていく
　もう一つの変化は、「質問文をゼロから書かなくてもいい」という点です。AIは、与えられたテーマから構成案をつくり、文章の骨組みを示してくれます。例えば「防災をテーマに、３分間で町の課題と改善策を訴える原稿をつくって」と入力すれば、即座に“たたき台”が出てきます。その原稿を読みながら、「この部分は地元の事例に置き換えよう」、「この数字は最新データに修正しよう」と、自分の経験や地域の実情を重ねていけます。
　こうしたやり取りを繰り返すうちに、原稿の完成度はぐんと高まります。AIが文章を整え、議員が自分の町の実情を加えるという役割分担で質問を作成していきます。

議員は「政策を磨く」ためにAIを活用する

　AIを使う最大のメリットは、単なる時短ではありません。AIが調査や下書きを支えてくれることで、議員が本来注ぐべき「考える時間」、「伝える工夫」に集中できるようになる点にあります。これまでは、資料整理や文案づくりに追われ、政策の本質を深く考える時間が奪われていました。しかし、ChatGPTを導入することで、作業に費やしていた時間を、政策を磨く時間へと置き換えられるのです。
　議会質問の質は、準備時間の長さではなく、どれだけ本質を見抜き、住民に伝わる言葉で語れるかにかかっています。AIをうまく使えば、その質を高めながら、精神的な余裕も生まれるでしょう。