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2025.10.10 医療・福祉

第9回 たかが、ごみの分別、されど地域共生に大きく関わるごみの分別

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リサイクルマークの分かりにくさ

 まず、ごみの分別として我々一市民にとって最も身近なものは、冒頭でも書いた「紙」マークや「プラ」マークなどの識別表示でしょう。
 この表示をもとに私たちはごみの分別をするわけですが、要支援や要介護といった介護認定を持つ老人には、どれも地味で、似たようなデザインに見え、非常に区別するのが難しいのです。老人は認知症がなくても視力が低下していますから、小さい表示では分からないことが多いのです。それに認知症が加わると、ごみの分別はさらに困難になります。
 参考までに文献を検索してみると、自治体によっては、ごみの組成調査を公表し、どの程度、分別できているのかなどが明らかにされています。
 しかし、ごみはプライバシーとも密接であるためか、詳細な情報公開はなされていません。もちろん、〈認知症・老人〉とごみの組成に関する自治体の情報などはありません。
 一方で、高齢化率とごみ出しのルール違反に相関性を認めた研究結果がありました(宮前 2010)。
 また、加齢に伴いごみの分別が困難になる調査結果も出されています(田畑・小田・宮本ほか 2016)。
 今後、少子高齢化が今以上に進む上で、ごみの出しやすさを前提とした商品づくりは不可欠ではないかと思います。
 もっとも、この問題は「資源の有効な利用の促進に関する法律」といった国レベルの課題のようですから、自治体の範疇(はんちゅう)ではないかもしれません。現場の声を収集し、国へ声を届けることが肝要かと思います。

自治体の対応策

 障害や認知症、加齢などのためにごみの分別が難しくなった地域住民に対して、自治体独自の支援事業を行っているところは多くはないようです。
 私が調べたところでは、環境省が以下のような事例を紹介していました。
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出典:環境省(2021)「高齢者のごみ出し支援制度導入の手引き〈第2版〉」

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