2025.09.10 ICT活用・DX
第1回 AI時代の議員活動とは?
議員活動での具体的な活用場面
では、実際にAIを使うと、どのように役立つのでしょうか。ここでは議員の現場に即した活用方法を紹介しています。
(1)議会質問の原稿づくりに活用
地方議会において「一般質問」は、議員の活動を住民に示す重要な機会です。しかし、その裏側には膨大な準備があります。テーマを絞り込み、関係法令や予算の裏付けを確認し、他自治体の取組みを調査し、執行部や担当部署と調整した上で説得力のある質問原稿をまとめ上げます。この準備作業には多くの時間と労力がかかり、質問以上に大変だと感じる議員も少なくありません。
そこで、AIを活用すると、例えば「子育て支援に関する全国的な動向をまとめて」と指示すれば、関連する法律や国の施策を要約し、質問の出発点となる情報を整理してくれます。さらに、「この内容をもとに、5分間の一般質問の草案を書いて」とお願いすれば、骨格となる原稿のたたき台まで用意してくれます。
もちろん、議員自身が地域の状況に即して表現を修正したり、自分の考えを肉付けすることは不可欠です。しかし「ゼロから考える」必要がなくなることで、頭のエネルギーを「政策の方向性を練る」、「住民にどう伝えるか」といった本質的な部分に集中させることができるのです。
(2)法律や政策の情報を要約する
国や自治体が作成する資料は、数十頁にも及ぶ分厚い文書であることが珍しくありません。そこには重要な情報が含まれている一方で、専門用語が多用され、紙ベースの資料は「必要な情報を探すのが大変」、「結局十分に目を通せない」という悩みもあります。
AIは、こうした「情報の山」を瞬時に整理してくれます。文書を入力すれば「この報告書の結論は何か」、「議員として押さえておくべきポイントはどこか」といった要点を簡潔にまとめてくれます。さらに「小学生にも分かるように説明して」と追加で指示すれば、行政文書特有の硬い表現が軟らかく翻訳され、直感的に理解できる形になります。
その結果、「まず概要を短時間でつかみ、必要な部分だけじっくり読む」という効率的な情報処理の順序が可能になります。限られた時間の中で多くの情報に触れなければならない議員にとって、これは大きな武器となるでしょう。
(3)活動報告の作成をサポートする
議員活動では地域で配布する活動報告を作成する機会が多々ありますが、その作成に頭を悩ませる議員は少なくありません。AIを活用すれば、どのような活動報告を作成するか、企画のアイデアを考えたり、レイアウトや構成の作成、記事本文の執筆まで任せることができます。活動報告の作成を外注している場合には、そのコストを著しく圧縮させることも可能です。
このように、AIは議員活動のあらゆる場面で頼れるパートナーとなり得ます。本来なら多くの時間と労力を要する業務をサポートし、議員が「人にしかできない判断と責任」に集中できる環境を整えてくれるのです。
