地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2025.09.10 仕事術

第32回 どうする議長②

LINEで送る

連携協定後の活動こそが重要

 大学との連携を進める上で注意しなくてはならないのは、連携することが目的になってはいけないということです。連携して何を行うかが重要です。ともすれば連携協定締結がゴールになってしまい、その後の連携があまり活発でない事例もあるようです。
 所沢市議会では、現在、二つの活動を柱に早稲田大学との連携活動を進めています。一つは、学生インターンの市議会への受け入れです。もう一つは、政策研究審議会の委員委嘱です。
 時系列は前後しますが、まず、学生インターンの受け入れについて紹介します。学生インターンについては、早稲田大学との連携協定から2年後の2018年2月に人間科学学術院との間で締結した「インターンシッププログラムに関する覚書」に基づき、受け入れを行っています。このインターンシッププログラム開始のきっかけは、2017年10月、当時の議長、私、そしてA議員が、早稲田大学人間科学部創設30周年記念行事に出席した際に、連携協定のさらなる充実のために早稲田大学の関係者に働きかけたことに始まります。
 当初は、早稲田大学からのインターン希望者がいるか心配でしたが、覚書締結直後の2018年3月定例会には、早速2人の学生インターンを迎えることができました。
 その後も、所沢市議会では、毎年継続的に早稲田大学からの学生インターンを受け入れています。インターン志望の学生は、政治に興味がある学生、あるいは、ゆくゆくは行政職員を目指す学生などです。
 学生インターンを受け入れる最大のメリットは、日常の議会活動に学生の新鮮かつ率直な見方・考え方を取り入れられることです。本連載第27回「どうする総合計画②」(https://gnv-jg.d1-law.com/login/article/20241225/77739/)で紹介したように、私もすっかり議会の惰性に取り込まれていて気づかなくなっていた重大な問題に気づかせてもらいました。
 学生インターンは、大学生の夏休みや春休みと重なる、3月、9月定例会時期を中心に受け入れます。受け入れる議員にもよりますが、私の場合は、学生インターンの問題意識に合わせて、一般質問の一項目を全て任せていました。まず、学生インターンが日頃から問題と思っていることについていくつか取り上げ、その中から一般質問ネタとして取り上げやすい項目を選びます。さらに、取り上げた項目について、実際に執行部を呼んでヒアリングをしてもらいます。学生インターンには当然、一般質問も傍聴してもらいます。そして、自分の取り上げた課題について、どのような答弁が執行部から返ってくるのかを確認してもらいます。全ての議員が学生インターンに対して上記のような対応をしているわけではありませんし、学生インターンへの対応について特に決まった形式は定めていません。
 2018年9月定例会では、学生インターンのCさんの問題意識に基づき、「東日本大震災避難者への所沢市の対応」というテーマを一般質問の一項目に設定しました。Cさんは、所沢市内にある早稲田大学災害復興医療人類学研究所が、東日本大震災を契機に提示された様々な身体・心理・社会・文化的な課題を追求するために調査研究を実施するとともに、震災後もシンポジウムなどを行っており、そうした活動と所沢市の被災者対応が連動していないことについて問題意識を持っていました。質問に当たっては、当時の所沢市への避難者数が100人以上であることも確認できました。答弁としては、ほぼゼロ回答に近い内容で、Cさんもがっかりしていました。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年1216

山の手線開通(明治42年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る