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2025.07.10 コンプライアンス

第14回 女性職員へのハラスメント行為による議員辞職

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(2)本事案の問題点
 本事案の問題点は、C議員のハラスメントに関する規範意識が低かったことが最大の問題点です。議員が「職場と認識されてしかるべき場所」にいる異性の職員を「食事に誘う」という行為は、ハラスメントとして認識される可能性が極めて高い行為です。議員と行政職員では、その力関係は歴然であり、特に正副議長は20代の若手職員から見れば市長・副市長と同格と認識されています。そういった議員から個人的なやりとりを求められたり、食事に誘われた場合、職員側から拒否することは極めて難しいでしょう。
 今回のケースのように、初対面で立ち話から個室に移動させられたときには、職員から見れば、何のために連れ出されるかは全く想定できないものの、副議長からの呼び出しとあれば「とりあえずついていく」しかできないはずです。仮に近くに上司がいたとしても、「ちょっと相談があるんだ」といわれれば、上司ですら「『ちょっと』とは何でしょうか? 相談ならここでしてください」と反論することは極めて難しいでしょう。
 このように、議員と行政職員の間にあるパワーバランスを理解していなかったこと、そして「プライベートな会話や食事への誘いは問題ない」と認識している点が、本事案の問題点といえます。

(3)B市の対応
 B市は2022年に「B市職員のハラスメントの防止等に関する要綱及び指針」を制定しており、要綱では「指導的立場にある職員の責務」として「職員からハラスメント又はこれに起因する問題に関する相談又は申出があった場合は、それらを解決するため、迅速かつ適切に対処すること」との記載があります。今回のB市の対応は、この要綱に従って行われた適切な対応であると認められます。
 この要綱の「相談等受付票」も公表されていますが、事案の内容や事実確認、相談者の感じ方や対応、相談者が求める対応などが記載されています。ハラスメント防止に関する要綱が制定されていると、このような事案が発生した場合にスムーズに対応できるため、被害者救済の観点からも、早急な制定が必要です。

(4)今後の対策
 B市の場合、先述のとおり市としてハラスメント防止に関する制度づくりは完了しています。その一方で、この制度はあくまで市職員を対象にしており、議員からのハラスメントは想定されておらず、議員に関する記述はされていません。今回のような事案を繰り返さないためには、議会が要綱や指針ではなく条例を制定してハラスメント防止に取り組むのが最も有効な対策であると考えます。
 また、今回のように「食事に誘うことがハラスメントになる」ということを周知するためには、議会・職員も含めて市全体で共有する必要があるでしょう。そのためにも、ハラスメント研修を行うことが重要です。

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